いま、海外のツイッターでこちらの比較画像がバズっているそうな。
「ポリコレなんてうんざりだ!!!」
…ということらしい。
まずこの画像の2人のキャラクターを簡単に説明しよう。
左のイカツイ女性はアビーという名前で、ラストオブアス2というゲームの主人公のひとり。
右の可愛らしい女性はティファという名前で、ファイナルファンタジー7リメイクの仲間。主人公のクラウドに密かに想いを寄せるという役どころだ。
ラストオブアスは超人気のゲームでその続編も期待されていた。
そんな中で発表されたアビーというキャラクターに「男か女かわからん!!」「筋肉ムキムキじゃねーか!!」「ティファの方が100倍いい!!」「こんなキャラクター操作したくない!!」「ポリコレいい加減にしろ!!」といった意見が集まった。
では、ポリコレとはなにか?
ポリコレとはポリティカル・コレクトネス(political correctness)の略で、その意味は「政治的な正しさ」だという。
これはとくにアメリカで発達した考え方や運動。
多種多様な趣味趣向を持つ人、世界中のさまざまな人種の人たちが暮らす中で、簡単に言えば「偏見や差別のない表現をしましょう」という考え方のことらしい。
これ自体はとっても素晴らしい!!
しかしこの考え方が行き過ぎた結果、ある種の「言葉狩り」や「文化批判」などが発生している。
ポリコレ前 | ポリコレ後 |
シュチュワーデス | キャビンアテンダント |
ファイアーマン(消防士) | ファイアーファイター |
ビジネスマン | ビジネスパーソン |
ブラックマーケット | アンダーグラウンドマーケット |
メリークリスマス | ハッピーホリデー |
看護婦 | 看護師 |
保母・保父 | 保育士 |
メクラウナギ | ヌタウナギ |
イザリウオ | カエルアンコウ |
障害者 | 障がい者 |
肌色 | ペールオレンジ |
どれもが、ある種の社会的属性(往々にして社会的弱者)に配慮した結果、マイルドな表現に変化している。
面白いのはクリスマスにおける「メリークリスマス!」という挨拶がポリコレ的には「ハッピーホリデー!」になってるところ。
宗教的に全員がクリスマスを祝っているわけではない。だけどアメリカを含めた欧米ではクリスマスは祝日。
なもんで「ハッピーホリデー!!」という言葉に変更になってるんだって。
では話を最初に戻そう。
なぜポリコレが先鋭化すると、ゲームの女性キャラクターは可愛らしさを失い、イカツクなるのだろうか??
ポリコレで女性キャラクターがブスになる理由
ラストオブアス2の開発会社ノーティドックによると、このキャラクターデザインはLGBTQに配慮した結果なのだとか。
LGBTQとは?
L:レズビアン
G:ゲイ
B:バイセクシャル
T:トランスジェンダー
Q:クエスチョニング/クィア(性的志向を定めていない人や性的少数派の人)
良いのか悪いのかわからないけど、意図的に「男性らしさ」や「女性らしさ」を排除した結果、こんなある意味で中性的なキャラクターが出来上がったという。
日本では欧米ほどポリコレの考え方が進んでいないので、かわいいくて女性らしいキャラクターが好まれるってわけだ。
異性愛を描いて批判されたゲーム「アサシンクリードオデッセイ」(ネタバレあり)
アサシンクリードオデッセイは古代ギリシアを舞台にしたオープンワールドRPGだ。
プレイヤーは男性のアレクシオスか女性のカサンドラを選んでプレイできる。(個人的にオープンワールドRPGの中では、ウィッチャー3を超えた最高の作品だと思っている)
ポリコレに配慮したのかしていないのかわからないけど、女性主人公のカサンドラは美人さんだ。
(ここからストーリーのネタばれを含むので未プレイな方はご注意を)
このゲームは男性を選んでも女性を選んでも、ストーリーにほとんど変化がない。
ゲーム内には恋愛要素もあるのだけれど、男性であろうが女性であろうが問題なく関係を結ぶ。
わたしはアレクシオスを選んでプレイしていたのだけれど、アレクシオスが普通にオッサンと抱き合っているシーンを見るのは不快でしかなかった。
相手が男だろうが女だろうがおかまいなし!!!
まあ、嫌なら選択肢で拒めるけどね。
ここまでなら問題はない。
多種多様な性的志向があるのだから。
だけどストーリーを勧めると、「主人公が異性と恋に落ちて子どもをもうける」という流れになっていく。
個人的にはジーンときたし凄く感動したのだけれど、このストーリー展開が海外で批判の的になっていたとか。
その批判の根拠は、「今まで自分の性的志向を自分で選べたのにもかかわらず、異性愛を強制されるストーリーになったから」なのだという。
ポリコレの考え方がまだまだ浸透していない日本ではこんな批判はない気がする。
まあ、LGBTの観点からすれば、異性愛を強制されるのはいい気分じゃないだろう。
自分を否定された気分にもなっちゃうかもしれない。
そんなポリコレの影響による「過剰な男性性や女性性を抑える」という流れはディズニー映画でも見られる。
ディズニー映画は基本的にお姫様が素敵な王子様と恋仲になりハッピーエンドというストーリーばっかり。
だけど「アナと雪の女王」では男性との恋愛ではなく姉妹の愛がメインテーマとなっていた。
男らしさや女らしさを排除する流れは、今後に日本でも主流になってくるかもしれない。
一部問題がありつつも、ポリコレの考え方は基本的には正しい。
”男性らしさ”に囚われて苦しんでいる男性。
”女性らしさ”に囚われて苦しんでいる女性。
”世間の常識”に囚われて苦しんでいるあらゆる人たちが、少しでも楽に生きられるのならそれでいい。
だけど…
ゲームのキャラクターくらいは美形でそろえてもいいんじゃないだろうか!??