消費者物価指数の基準が改定された。その調査品目をみると、時代の流れが見えてくる。
例えば今回は調査項目で「お子様ランチ」が削除され、「コンビニのコーヒー」が追加された。
平成27年の調査品目の変更内容と、過去の変更内容を紹介し、時代の流れの変化をみてみよう。
消費者物価指数とは?
世の中には様々な経済指数が存在する。だけど雇用統計や景気先行き指数など、専門家でなければよくわからないようなものばかり。
そんな中にあって、この「消費者物価指数」とは最も消費者に寄り添った指数であると言えよう。
その内容は意外とシンプル。
一般的な家庭が消費する品物をピックアップして、その価格の平均や推移を計測するこというもの。これにより全体的な物価や経済の状況を知ることが出来るのだ。
その調べるリストは現在、実に588品目にのぼる。我々が日常的に使うものの殆どがピックアップされているのだ。
計測の方法も地道だ。日本中に秘密裏にちりばめられた880人の消費者物価指数Gメンが手作業で大根とかトイレットペーパーなんかの価格を調べて、それをまとめて統計とする。
もし近くのスーパーで怪しげな黒服にサングラスの男がいたとしたら、それはもしかしたら消費者物価指数を調べる組織の人間なのかもしれない…。
消費者物価指数の追加品目と削除品目
消費者物価指数の対象となる品目を見ると、その時代が見えてくる。
例えば今現在、墨汁やワープロやカセットテープなんかは調べられていない。だれも買わないし、時代にそぐわない。調べても実勢を反映した統計にならないからだ。
では今回の改定で追加されたもの、削除されたものはなんだろう?
調査品目から除外されたもの
- お子様ランチ
- 筆入れ
- 左官手間代
- し尿処理手数料
- ETC車載器
- 体温計・ヘルスメーター
- 親子丼
調査品目に追加されたもの
- 補聴器
- 電動アシスト自転車
- 水筒
- マスク
- 警備料
- 浄化槽清掃代
- 空気清浄機
- コーヒー(コンビニのセルフ式)
- しょうが焼定食
これで全てではないが、主なものをあげてみた。これを見ると、確かに時代の流れで消えていくもの、そして新しく現れたものがわかる。
追加された警備料はセコムなどの企業が提供するサービスの事だろう。浄化槽清掃台はマンション建設が隆盛なのを物語る。コンビニのコーヒーが追加されるなんて、まさに時代の流れに沿っていると言えよう。
また、体温計やヘルスメーターが調査対象から削除されるのは、あまりにも普及しすぎたためと考えられる。
それにしても、お子様ランチが削除されるのはわかる、なんとなく時代遅れな気がするし。だけど、親子丼が削除されてしょうが焼き定食が追加されるのがわからん!しょうが焼き定食ってそんな流行っていたっけ?
では過去に追加、除外されたものはなんだろうか?5年前の平成22年の改定内容を見てみよう。
平成22年の消費者物価指数、調査品目の変更内容
調査品目から削除されたもの
- ステレオセット
- 速達・書留
- 草履
- 福神漬け
- ブレンド米
- やかん
- レンジ台
- 腕時計・テレビの修理代
調査品目に追加されたもの
- いくら
- やきとり
- 大人用紙おむつ
- ゲームソフト
- ペット美容代
- メモリーカード
- 音楽ダウンロード料
このリストを見ると平成22年の世の中が見えてくる。
削除された項目を見るとステレオセットが削除、CDを聴く文化が廃れているのがわかる。たいして音楽ダウンロード料が追加品目にある。
速達・書留の削除は、メールやPDF添付ファイルの利用が増えたからだろう。
大人用紙おむつの追加が高齢化社会の到来を如実に表している。
ペット美容代なんかも、ペット業界の発展を表していて面白い。昔は散歩している犬に服を着させる人なんていなかったよね。
また、時代に合わせて調査品目の名称も変更される場合がある。
驚くべきことに平成22年の変更内容に「男子ブリーフ→男子パンツ」という項目が。
確かにブリーフなんてもう死語になっているが、平成22年の消費者物価指数の名称変更により完全にとどめを刺されたという事になるのではないだろうか。
消費者物価指数まとめ
この消費者物価指数は5年ごとに大きく変更される。時代の流れに合わせて、5年を待たずに追加・削除されることもあるようだが。
次回の変更は平成32年という事になる。
平成32年にはどんな品目が無くなり、どんな品目が新しく追加されるのだろう?
加速する時代の流れで消えていくもの、現れるものをわかりやすく伝えてくれるので面白い。
肝心の平均価格の方は、金融緩和をやりまくっているおかげで値上げの方向に動いている。日銀はインフレ目標を掲げているし、平成33年はもっと値上がりしているだろう。それに合わせて給料の方も上がってくれればいいのだが…。