精神科医は主に問診によって、うつ病であるかどうかの判断を下す。これには明確な基準はなく、時に間違った判断を下してしまう場合もある。
患者が間違った向精神薬を処方された場合、副作用で病状は悪化してしまうだろう。
そんなうつの診断に、問診だけではないもう一つの判断基準がある。
脳の血流を測定する方法だ。それを可能にする光トポグラフィー検査とはなんなのか?
光トポグラフィー検査とは?
光トポグラフィー検査とは、脳の血流を計測することで精神病の診断をすることが出来るものだ。
頭部にヘッドギア状の器具を装着し、簡単な質問を行う。そして脳の特定部位の血流量を見る。その血流量の変化パターンを計測することで、うつ病かそうでないかの診断をすることが出来るのだ。
光トポグラフィー検査はうつ病だけではなく、その脳の血流量のパターンによって4種類の診断を下すことが出来る。
①普通
②うつ病
③統合失調症
④双極性障害
例えば最近多いと言われている「新型うつ病」。これは「ただの甘えだ!」と言われることが多い。仕事など嫌なことをやる時はうつ症状が現れて、休日や自分が好きなことをやっている時は元気いっぱい。これじゃあ、うつ病に理解のない人たちにとって、ただの甘えであると思われても致し方ないかもしれない。事実、ただ単に新型うつ病と思い込んでいる人もいるのだろう。
そんな時にこの光トポグラフィー検査を行えば、目に見える形でうつ病の診断を下すことが出来る。そうすれば、患者も適切な治療を受けることが出来るだろう。
しかし光トポグラフィー検査が最も効果を発揮するのは、こういったうつ病かそうでないかを見抜く時ではないのだ。
本当に光トポグラフィー検査が必要な人とは?
光トポグラフィー検査が最も有効なのは、うつ病になったばかりの人ではない。長年うつ病の治療を続けているのに、イマイチ症状が良くならない人だ。
うつ病の症状をあげてみよう。
- 希死念慮
- 無気力
- 不眠
- 感情の喪失
- 食欲・性欲の低下
- 思考能力の低下
とまあ、一般的にはこんな症状が現れる。
しかしこの症状はうつ病だけに限ったものではない。
統合失調症でも似たような症状が現れるし、両極性障害も認知症でも現われる。そしてそれぞれの治療法はまったく違う。
長年うつ病の治療をし続けていて改善しないのなら、そもそも診断や治療法が間違っている可能性があるのだ。
向精神薬の副作用を考えてみても、的外れの無意味な薬を飲んでいたらますます症状は悪化するばかり。もし、精神薬を飲んでいて症状に改善がみられない場合は、一度病院の先生に相談してみるのもいいかもしれない。
光トポグラフィー検査の精度
光トポグラフィー検査の精度はは6~8割くらいとなっている。確実に何でも分かるというわけではないのだ。
しかし光トポグラフィー検査を補助的に使うことで、誤った診断を防ぐことが出来るだろう。
長年うつ病や統合失調症、両極性障害の治療を続けているのに、まったく改善されない人は一度この検査を受けてみるのもいいかもしれない。2014年4月から光トポグラフィー検査は保険適応となったので、それほど高額な検査費にはならないだろう。
ひょっとしたら、そもそもの自分の病名が違っていて、治療が的外れの可能性もあるのだから。
いろいろと問題点はあるものの、光トポグラフィー検査の普及や精度の向上は、精神病院の先生と患者、両方にとっての負担軽減になるのではないだろうか。