「共感覚」という言葉を知っているだろうか?
共感覚とは、ある一つの感覚が刺激されると、それに共鳴するように違う感覚が引き起こされる現象を指す。
例えば音に味覚を感じたり、文字に色がついて見えたり、そんな風に様々な種類の共感覚が存在する。
そんな共感覚という特殊能力を、なんとあのドランクドラゴン塚地武雅も持っているという。
その共感覚の内容と、共感覚の秘密を探ってみたい。
ひとつの感覚刺激が他の感覚を誘発する!謎多き”共感覚”とは?
人間の感覚は5種類に分けられる。
つまり、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の5つ。
共感覚を持つ人はこれらの内ひとつの刺激でもって、その他の感覚も引き起こされてしまうという。
一説には1000人に1人くらいの割合で、共感覚を持つ人は生まれるとか。
ほとんどの方は共感覚を持っていないので、「ひとつの感覚刺激が他の感覚を誘発する」という状態をうまくイメージできないだろう。
この共感覚は曖昧なイメージなどではなく、かなりはっきりと感じられるという。
例えば特定の言葉、単語、数字、音楽、などによってそれぞれに対応する「色」を知覚してしまうこともある。
味覚や音にカタチを感じる、においに触覚を感じるなんてこともあるだろう。
また、音に色を感じる人は高確率で絶対音感の持ち主でもあるという。
この共感覚が極度に高いスイスのある音楽家は、音階で色を知覚するのは勿論の事、甘い、苦い、辛い、といった味覚すら知覚できるというのだ。
つまりこのスイスの音楽家は、ブラックコーヒーを飲みながら「甘い音階」を聞けば、ゼロカロリーでコーヒーが甘くなるということなのだろうか?なんかすごい。
共感覚は個人差があり、同じ共感覚を持つ人でも感じ方は違ってくる。
「あ」という平仮名に赤色を感じる人もいれば黄色を感じる人もいる。
「ド」という音階に白を感じる人もいれば、黒を感じる人もいる。
「人間は脳の10%程度しか使っていない」なんて俗説があるけれども、共感覚の様な脳の不思議を聞くと、人間の可能性というか、脳の潜在能力の奥深さを感じざるを得ない。
ドランクドラゴン塚地武雅の共感覚とは?
塚地武雅の共感覚が発覚したのは、NHKのバラエティー番組「LIFE」でのこと。
塚地武雅氏は幼少の頃より、人や文字に色が着いて見えていたという。
文字に色のイメージが重なるという共感覚は、共感覚の中でも最もポピュラーな感覚のひとつと言われている。
しかし、常人である我々には文字や人にどの様に色がついて見えるのか、まったくわからないだろう。
そんな共感覚を、芦屋雁之助亡き後の山下清を演じた個性派俳優であり、稀代のお笑い芸人である塚地武雅が持っていたなんて驚きだ。
共感覚の可能性
たとえばアニメ「ミスター味っ子」において味王が美味い料理を食べた瞬間に「うまいぞぉぉーーーー」と叫び、とたんに画面全体に虹がかかったり、いろんなモノがたくさん乱れ飛ぶのも、味覚が視覚を刺激したという共感覚のひとつの大げさな表現なのかもしれない。
美味しいものを食べて、感動のあまり空を飛んだり、目から光線を出したり…と言った表現も、脳の視覚野や前頭葉への刺激による幻聴、幻視の類ではないだろうか。
たとえば漫画「JOJOの奇妙な冒険」5部においてジョルノ・ジョバァーナの汗を舐め「ウソの味だぜぇぇーーー!!」と看破するブチャラティも、なんかよくわからんが、とにかく共感覚の持ち主なのだろう。
こういった共感覚の脳内で仕組みが解明され、自由自在に共感覚を引き起こすことが出来たらどうだろう?
もし触覚で味覚が引き起こせるなら、レストランのメニューに触るだけで、ちょっとした試食が出来るかもしれない。
もし聴覚で視覚や触覚や味覚を引き起こせるなら、「ガラパゴス諸島の映像を感じるCD」「塩加減が足りない時のCD」「孫の肩たたき感覚CD」なんてのも出来るかもしれない。
もし嗅覚で視覚を引き起こせるなら、ガス漏れ時のガスの臭いにガスが爆発し家がぶっとぶイメージを挿入できるかもしれない。それを見てショックで倒れてそのままガス中毒で死んじゃうかもしれない。
映画やゲームやアミューズメント施設に応用したら凄い事になりそう。
なんとも夢のある話だが、そんな世界になったらすっごい疲れそうだ。
共感覚と霊能力の関係
霊が見える…その視覚で感じているもの、共感覚の可能性はないだろうか?
心霊現象のほとんどが見間違いや心理的な錯覚で説明できると言われているが、そんな心霊現象の原因のひとつに共感覚もあるかもしれない。
ひょっとしたら、見えないものが見える霊能力者や、人のオーラが見える人なんかも、何らかの共感覚を持っている可能性があるのだ。
先ほど紹介した鋭敏な共感覚を持つスイスの音楽家が、音から色や味覚を感じるように、ひとつの刺激から二つ以上の感覚が引き起こされる可能性があるとしたら、その人を見るだけで、見えないものを見て、聞こえない声を聞くことも可能かもしれない。
共感覚を持つ自称霊能者がいたとしたら、信じ込んじゃう人も出てくるかもしれない。
なぜなら、その霊能力者は嘘を言っているわけではないからだ。
霊の存在が見えたり、誰かの過去の映像が見えたり…そういった現象を引き起こす共感覚を自分自身の霊能力と信じ込んでしまっていたら、それを見抜くのは至難の業かもしれない。
実際、適当なことを言っても認知バイアスやバーナム効果で、意外と霊能者っぽくなってしまうだろうしね。
共感覚の持ち主は美術センスが普通の人よりも優れていると言われている。
霊能者を本物かニセモノか判断するのには、絵を描かせてみればいいかもしれない。
- 下手クソ→共感覚をもっていない可能性が高い、つまりホンモノの霊能者。
- めっちゃ上手い→共感覚を持っている可能性が高い、つまり共感覚を勘違いした霊能力者。
なんて。
おそらく霊能者には4種類のタイプがあるだろう。
①ホンモノの霊能力を持っている人
②他人をだます詐欺師(他人の注目を浴びたい自己顕示欲の強い人)
③脳や精神のトラブルで幻聴や幻覚を感じる
④驚異的な共感覚者
わたしは子どもの頃から心霊番組が好きでよく見ていたし、霊能力というのも否定はしない。
でも、ほとんどの霊能者はホンモノではなく、②~④のどれかに当てはまるだろうとも思っている。
ほとんどの霊能者はニセモノ。
だけど…たまにいるんですよね。
共感覚とか、そんなものでは説明できない能力を持つ人が。
理論的には説明できない世界がね。