ハンバーガー、ポテトチップ、ドーナツ、菓子パンなどなど、世の中にはさまざまなジャンクフードが存在するが、その中でも最悪最凶なジャンクフードと言えばこれだろう。
「揚げバター」
バターを油で揚げたもので、肥満大国アメリカ生まれのジャンクフード。
思いついたやつはとんでもない天才か、とんでもないマッドサイエンティストかのどちらかだろう。
人類史上最初にナマコを食べた人間よりも尊敬に値する。
そんな揚げバターには、人を魅了してやまない麻薬的な魅力があった!!
揚げバターが脳に及ぼす影響と、禁断のレシピ、さらに揚げバターをも凌駕する恐ろしい揚げ物料理を紹介したい!!
揚げバター禁断のレシピ
揚げバター、アメリカンに表現するならフライドバター。
まずは、そのご家庭で簡単にできるレシピを紹介しよう。
狂気の揚げバター☆レシピ
①冷蔵庫で冷やしてある、硬いバターのカタマリを串にぶっさす!
②ホットケーキ・ミックスでつくった生地を周りに絡める!
③油で30秒~1分こんがりと揚げる!
④チョコレートソース、蜂蜜、練乳などをお好みでぶっかけて貪る!
以上!実に簡単だ。
手軽に高カロリーを摂取できるので、小腹がすいたときにオススメだ。
しかしこのフライドバター、一度食べるとまた食べたくなるという恐ろしい特徴がある。
ひと口食べると、脂っこくてうんざりする。だけど、悪態をつきながらも平らげてしまう。
胃の中が脂っこくて、「もう二度と食べるか!」と思う。
だけど次の日には何となくフライドバターの事を考えている自分に気づく。
ああ、また食べたい…。
なぜこんなことが起きるかというと、フライドバターのようなジャンクフードは脳の海馬の機能を破壊するからだという。
それを証明するオーストラリアの研究者が行った実験がこちら。
研究チームは、心身ともに健康な20代の成人110名を対象として1週間にわたる実験を行った。被験者の半数に通常と同様の食生活を送らせる一方で、残りの半数にはファストフード中心の食事をさせ、ベルギーワッフルを食べるよう指示。
(中略)
その結果、ジャンクフードを1週間継続させると、記憶検査のスコアが下がり、満腹のとき、スナック菓子やチョコレートなど、口当たりのよい食品をより食べたくなることがわかった。
海馬の機能が阻害されると、記憶や食欲の制御がきかななくなる。
だから食べてもまた食べたくなるし、お腹いっぱいなのに食べたくなるわけだ。
さらにこの恐ろしい揚げバターの魅力には、科学的根拠に基づく秘密があった。
揚げバターを摂取することで引き起こされる脳への影響
先ほど揚げバターは脳の海馬の機能を阻害するという研究結果を紹介した。
…が、もっと恐ろしいのは、揚げバターを美味しく感じることそのものにある。
揚げバターの抗いがたい魅力の秘密は「脂肪」だ。
だって揚げバターなんて小粋な名前があるけど、結局のところ揚げバターは脂肪分のカタマリでしかないのだから。
たっぷりの脂肪を摂取した時、人間は脳内の報酬系が刺激され多幸感を得ることが出来る。
もう少し詳しく説明すると、脂肪を摂取することで脳内にβエンドルフィンやドーパミンが発生し、とんでもない快感を得ることが出来るのだ。
覚せい剤は脳内にドーパミンを溢れさせることで、とんでもない快感を得ることが出来る。
βエンドルフィンはモルヒネとほぼ同じ作用がある。
つまり揚げバターの快感は、ほとんど麻薬と同様のシステムによって発生していると言っていい。
油ってそれだけじゃああんまり味がしない。
だけど、それが美味いか不味いかはもはや関係がない。
純粋な脳に対する生化学的作用で、油の摂取がやめられなくなるのだ。
事実「ボタンを押すと油が出る」というマウスの実験において、マウスは油を得るために執拗にボタンを押し続けるという。
しかしこのマウスに脳の報酬系の受容体をブロックする薬を与えると、とたんにボタンに興味を示さなくなる。
油の持つ報酬系に与える快感刺激は、もはや麻薬的なのだ。
揚げバターは脱法ドラッグといっていいのではないだろうか。いや、合法ジャンクフードか!!
では揚げバターを食べる過ぎるとどうなるのか?
バターは油の中でも「飽和脂肪酸」に分類される。
飽和脂肪酸を食べ過ぎると肥満になったり、血液がドロドロになって心筋梗塞や脳梗塞になったり、糖尿病のリスクを上げたりする。
揚げバターがいくら合法的に食べれるからといって、食べ過ぎてしまったら命を縮める結果になるだろう。
揚げバター殺人事件
資産家の老人の所に嫁いだ孫ほども年の離れた若い娘。
料理が苦手なその娘には、たったひとつだけ得意料理があった。
それが母親がこどもの頃によく作ってくれたという「揚げバター」だ。
嫁が一生懸命につくる揚げバターに、心優しき老人は笑顔で食べ続ける。
「いやあ、美味しいねぇ…」
毎日毎日揚げバターを食べていた老人は、半年後に心筋梗塞で急死する。
遺産はすべて幼い妻のものだ。
悲しみに暮れる妻を慰める周りの人たち。
葬式では棺桶の中の老人の遺体に、葬儀の参列者たちが、生前老人が大好きだった揚げバターをひとつひとつ添えていく。
揚げバターでいっぱいになった棺桶は、火葬の際に激しく激しく燃え上がり、老人の骨のひとつも残らなかったという…。
未亡人となった妻は、その後莫大な資産を受け継ぎ、何不自由ない暮らしを始めた。
その後、未亡人が揚げバターを作る姿を誰も見ることはなかった…。
…なんてことが起こるかもしれない!!(なんか世にも奇妙な物語みたいだ)
揚げバター、まさに最凶のジャンクフードだ。
というか、砂糖まみれのバターのカタマリを食べるなんて、そんなの考えただけで気持ち悪いんだけど。
狂気に満ち満ちたアメリカ生まれの揚げ物料理たち!
揚げバターは2009年に開催されたテキサス物産フェアの「最もクリエイティブな食品賞」を受賞して一躍有名になった。
この「最もクリエイティブな食品賞」を受賞した料理たちは、揚げバターに引けを取らないヤバいモノばかりなので少し紹介したい。
揚げビール
プレッツェルにビールを包んで揚げたシロモノ。
ひと口噛めば、熱々のビールが飛び出してきて、美味いとか美味くないとか。
ちなみにこの揚げビール、テキサス物産フェア食べるときには身分証明書の提出が必要だったという。
ビールを高温で上げたらアルコールも飛んじゃう気がするけど、しっかりと酔っちゃうのかも。
同様のレシピで、揚げ日本酒、揚げ焼酎、揚げワイン、揚げウィスキーなんかもできるね。
揚げバブルガム
バブルガムフレーバーのマシュマロを、バブルガムフレーバーのバターで揚げて、バブルガムフレーバーのソースをかけていただく珍品。
日本では”バブルガム味”が一般的ではないので、イマイチ味が想像できないけど、とにかくマズそうだ!
それにしてもアメリカ人の食べ物に対する色彩感覚には、毎度のことゲンナリさせられる。
恐らく海原雄山に「今日は新鮮な良いバブルガムがはいったんですよ。どうぞ、揚げバブルガムです」と出したら「こんなものはゴミだ!!不愉快だ!」激怒されるだろう。
揚げ感謝祭ディナー
感謝祭のディナーで余った七面鳥やマッシュポテト、クランベリーソースなどをまとめて生地で包み、それを揚げていただく。
ひと口食べれば前日の盛大な感謝祭のすべてをふたたび再体験できるという、狂気に満ちた逸品だ。
日本でいうならば、正月明けに余ったおせち料理を全部混ぜて作る「揚げおせち」というところか。
生ごみを食べているだけじゃないか…
そんな感想もったとしても、案外的外れじゃないかもしれない。
アメリカ人の名誉のためにも誤解してほしくないのだが、今回紹介した揚げ物料理は、結局はフェスティバルの”企画モノ”で生まれたレシピ。
こんな料理を日常的に食べているアメリカ人はいないだろう。
だけど、アメリカ人の普段の食事を見ると、もう全部茶色い料理ばっかり。
揚げ物や炭水化物、インスタント食品。
とにかく揚げ物が大好き!!
そんな”揚げ物愛”がこんなにもキテレツで独創的な揚げ物料理を作り上げたのかもしれない。
現在のアメリカは、3人に1人が肥満なんだとか。
納得である。
日本には「揚げおせち」ではなく「七草粥」がある。
なんと奥ゆかしき食文化よ。
日本に生まれてよかったなあ~と思わざるを得ない!!