精神と心理

恐怖!科学的にパフォーマンスを向上させる最高の激励方法とは?

2016年11月10日

例えば、あなたに小さなこどもがいたとしよう。

小学校の運動会でリレーの選手に抜擢されて、緊張の面持ちで競技に参加しようとしているこどもに向かって何か一言。はたして、どんな励まし方が最も効果的だろうか?

しゃがんでこどもと目線を合わせて優しく、そして力強く語り掛ける…

「絶対に勝てよ!!」

「一等賞になったら、みんなで美味しいもの食べに行こう!!」

「自分の実力を出し切れば結果なんて関係ない。後悔のないように走れ!!」

たくさんの言葉が思い浮かぶはずだ。だけど、この激励のどれもが科学的にはイマイチといえよう。

実験によって判明した、科学的にパフォーマンスを向上させる最高の激励のやり方を紹介しよう。

「死」について考えると、人は能力がアップする!!

人は死についてほのめかされると、そのパフォーマンスがアップするという研究結果が発表された。

バスケットボールの試合前に、「いずれは誰もが死を迎えること」をほのめかされた選手は、そうでない選手よりもシュートの成功率が高く、より多くの得点を稼いだ──これはスポーツ心理学の学術誌『Journal of Sport and Exercise Psychology』に掲載された研究結果である。

研究チームは、こうした死のほのめかしによる「激励」の効果は、「恐怖管理理論」(terror management theory)によるものだと仮説を立てている。この理論は、人間は「死の恐怖」に直面してそれに対処しようとする際に、自尊心や意義、不死を象徴するもの──そしてこの場合では優れたアスリートになること──を追求するというものだ。

参照元:人は「死」を意識すると、本当にパフォーマンスが向上する:研究結果(WIRED)

人間は”死”を意識するとき、その行動のパフォーマンスが向上するという。

これは「恐怖管理理論」、つまり死の恐怖を前にして対処しようとするときにそのパフォーマンスが向上する火事場の馬鹿力的な人間の潜在パワーによるものではないかと仮説が立てられている。

実験ではバスケットボールの試合前に「死についてどう考えているか」というアンケートを答えた選手の方が、試合でのパフォーマンスが向上したという。

死への恐怖を感じるというよりも、死を意識することそれ自体がパフォーマンス向上に一役買っているようだ。

最高の激励とは?

では、最初の質問に戻ろう。

リレーに参加するこどもにどんな言葉をかけて励ませばいいのか?

答えはこうだ。

「いいか…人間はいつか必ず死ぬんだ。お前も、そして俺もだ。え、死んだらどうなっちゃうのだって?これはまあ、俺の考えだけどな、死んだあとは天国も地獄も無いよ。あるのは”永劫の無”だ。…無が在る、なんて変な話だけどな。死んだあとはずっと、永遠に、何もない無が続くんだよ。おいおい、泣くなよ…怖い?大丈夫、怖いなんて感情も無の中ではなくなっちまうし、感じることもない。もちろん、生まれ変わりなんてのもない。人間は死んだら、なんにもなくなっちまうんだ。今まで生きてきた何もかもがな。わかったか?…よし、わかったなら…リレー頑張れよ!!

これが科学的に最もこどものパフォーマンスを向上させる激励の方法だ。

 

箱根駅伝で頑張って走っている選手にも「いつか死ぬぞーーーっ!!」と応援するのがいい。

2ストライク3ボールに追い込まれたピッチャーにも「いつか死ぬぞーーーっ!!」と応援するのがいい。

 

…なんだか殺伐とした世の中になりそうだ。

ガイコツTシャツでパフォーマンスが向上する!?

なんとも面白いのが、次に行われた実験だ。

バスケットボールのゴールに1分間でできるだけたくさんシュートするっていうゲームを行うのだけれど、被験者を二つのグループに分けて、一方には「death」という単語を組み合わせて書かれた頭蓋骨のプリントされたTシャツをきた研究者がルール説明を行った。

そうすると、そのTシャツを見た被験者が「死」を意識したせいなのか、もう一方の被験者よりもシュートの成功率が30%も上昇したという。

これからはスポーツのコーチや、学校の先生は、全員が髑髏のTシャツを着るか、死神のコスプレでもして指導すれば、生徒たちのパフォーマンスが最高になるに違いない!

スポーツに、仕事に、応用できるかも!?

この研究はスポーツだけでなく仕事などにも応用できる可能性があるという。

単純作業の工場にBGMを流すと、ミスが減り生産性がアップするというが、この音楽を”お経”にしたらどうだろう?

…誰もが死を意識せざるを得ない。

きっと生産性は格段にアップするだろうが、離職率も格段にアップするだろう。

 

…これらの研究を発表したチームがどういった意図をもってこんな実験をしたのか知らないが、はっきり言ってこんな研究をパフォーマンス向上に活用しないで欲しい!!

そう思うのは私だけではないだろう。

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