2016年のイグノーベル賞が発表され、日本もめでたく10年連続の受賞となった!!
イグノーベル賞は「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して授与される、ノーベル賞をパロディ的な賞のこと。
2016年も「マウスにズボンをはかせる実験」「ヤギになった男」「岩のブランド価値について」などなど、面白い研究がいっぱい!そんな個性的な10の受賞内容を少しだけ紹介しよう。
2016年イグノーベル賞の10種に及ぶ受賞内容を紹介!
イグノーベル生殖賞
ポリエステル、綿、ウールのズボン着用がラットの性生活に与える効果の研究(エジプト)
ラットに6か月間ズボンをはかせて、その後の性行動を観察。その後、ズボンを脱がせて6か月、その差を比べる研究。
まず、ズボンをはいたラットが可愛いに違いない!!
どうやらポリエステル繊維のズボンだとラットの性行動が減少、その原因が静電気の可能性があるということだ。
もしこの研究が進めば、いつか人間用に性衝動を抑えるズボンなんかが発売されるかもしれない。
イグノーベル経済学賞
経済・マーケティングの観点から。”岩”に認められた個性を評価する研究(ニュージーランド・イギリス)
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岩の個性?意味が分からん!!
この研究、どうやら「岩の写真」、つまり”根本的に無価値なもの”を利用した”ブランド”の評価についての研究のようだ。(多分ね)
同じバッグなのに、ブランドってだけで価格が10倍以上になる市場と、ブランドが大好きなセレブを小馬鹿にしたような研究なのかもしれない。
イグノーベル物理学賞
白馬がアブに刺されにくい理由とトンボが黒い墓石に引きつけられる理由(ハンガリー)
白馬がアブに刺されにくいのも、黒い墓石がトンボを引き付けるのも、その”光を反射する特性”が理由だという。
スズメバチが黒いものを狙って刺してくるというけど、きっと同じ理由からなのかもしれない。
イグノーベル化学賞
自動車の排ガス問題テスト時に自動的に少ない排出量を算出し、自動車公害を解消する方法(フォルクスワーゲン社)
排ガスのテストで不正を続けていたフォルクスワーゲン社に対する、イグノーベル賞からの強烈な皮肉だ。実際にはテスト時に数値だけ排出量を少なくしていたわけで、自動車公害はまったく解消されていない。
さすがはイグノーベル賞、ブラック・ユーモアたっぷり!!
2016年イグノーベル医学賞
体の左側がかゆいとき、鏡を見て右側をかくとかゆみが治まる発見(ドイツ)
片腕を失った人がすでに無い腕に痛みを感じる「幻肢痛」、これを解消するために有効なのが、鏡を使って失った腕があるように視覚を錯覚させること。この視覚情報で脳が腕があると錯覚、その結果幻肢痛が嘘のように消える。
このドイツの研究では、身体は失われたわけではないのに”視覚的錯覚”と”触覚”が、まったく違う体の部位に影響を及ぼすことがわかった。
いま発展しているVR(バーチャル・リアリティ)技術は、聴覚や視覚だけしか刺激しないけど、この研究を発展させることで”疑似的な触覚”も実現するかもしれないね。
イグノーベル心理学賞
いろんな年齢の1000人の嘘つきに「どれくらいの頻度で嘘をつくんですか?」と聞いて、その答えを年代べつ検証する研究(ベルギー、オランダ、ドイツ、カナダ、アメリカ)
嘘つきに嘘の頻度を聞いて、その言葉が嘘なのかホントなのかを真面目に研究…頭がこんがらがってしまう。
この実験に参加した嘘つきの被験者はさぞかし楽しかったに違いない。
実験の結果、嘘をつく能力は幼児期に発達し、思春期にウソつき度が最高になった後、高齢になるにつれ低下していくことがわかった。
つまり、老人はウソをつくことが苦手ってことになる。
確かにウソって頭の回転がよくないと、付くのが難しい。高齢者がウソをつきづらくなるのも納得だ。
イグノーベル平和賞
「ニセモノの深遠なるデタラメ」の受け取り方についての学術研究(アメリカ・カナダ)
友達と吉野家で牛丼を食べているとき、ふいに友人が牛丼に紅生姜をのせながらつぶやく。
「世の中にはな、2種類の人間がいるんだ。いや、2種類の人間しかいないといっていいかもしれない。…牛丼に紅生姜をのせる者と、のせない者だよ」
それを聞いて、あなたはどう思うだろうか?
思わず「おおっ!!なるほど!!」唸るだろう。
このように、「まったく意味がないけどなんとなくカッコいい単語」や「くだらない内容なのに難しそうな文章」だと、読んだ人は思わず納得してしまうという、バカみたいな人間の認知機能についての研究。
みんな、少しは思い当たるのではないだろうか。
イグノーベル生物学賞
獣医で作家のチャールズ・フォスター氏、アナグマやカワウソ、キツネと同じ野生の生活を体験して出版(イギリス)
デザイナーのトーマス・トウェイツ氏、ヤギとともに野山を歩き回れる人工装具の開発(イギリス)
トウェイツ氏がヤギ化に成功した人工装具の画像がこちら。
画像参照:人間社会に嫌気がさし、四足歩行となり草を食べ、ヤギとしてヤギと共に生きる道を選んだ男の物語
彼は人間社会に疲れ果て、ヤギとなることを選んだわけだが、それでイグノーベル賞を受賞できるのだから人生はよくわからないものだ。
イグノーベル文学賞
生きているハエ、そして死んでしまったハエを集めることの至上の喜びが延々とつづられた自伝(スゥエーデン)
自叙伝の3巻がまるまるハエについて書かれたもの、生きているハエを捕まえる喜び、死んでいるハエを集める楽しさが延々と綴られているという。
…考えるだけで吐きそう。
読者の感情を揺さぶるという点において、まさにイグノーベル文学賞に最適な本であろう。
イグノーベル知覚賞
前かがみになって股の間から後ろ方向にものを見ると、実際より小さく見える「股のぞき効果」の研究(日本)
日本人がイグノーベル賞を10年連続で受賞した!受賞したのは立命館大学の東山篤規教授と大阪大の足立浩平教授。
これは日本の技術とユーモアセンスが世界でもトップレベルであることの証明だろう。
受賞したのは「股のぞき効果」についての研究。頭を逆さにして股の間から風景を見ると、ものの見え方が変わってくる。大きさは実際よりも小さく、距離は近くに見えて、さらに奥行きも感じづらくなるというのだ。
この股のぞき現象を上下が逆転する”逆さメガネ”を使って行うとどうなるか?
上下が反転することでの”錯覚”が原因であれば、大きさも距離も普通に見える時と変わらないはず…しかし実験してみると、逆さメガネを使っても股のぞき効果は発言した。
つまり、股のぞき効果の原因は、視覚的錯覚ではなく”股から覗く姿勢”にあったわけだ。
くだらなくて意味のないことが大事
2016年も人間を皮肉ったような研究から、一見くだらない研究まで、各国から様々な研究がイグノーベル賞を受賞した。
とても面白いし、とても考えさせられる。
ユーモアたっぷりの実験や、無価値なように見える研究から、世界を変える大発明が生まれるのではないだろうか。
「有意義な実験や、価値ある研究なんて面白くない!!」
これは人生そのものにも言える。
できるだけ無価値でどーしようもなく無意味なことこそが、楽しい人生を過ごすために一番大切なこと。
何の理由もなく楽しかった、こども時代の遊びのように。
イグノーベル賞は、忘れかけていたそんな”楽しさ”を思い起こさせてくれる賞なのかもしれない。