2016年6月初旬の4日間、驚くべきことに太陽から黒点がすべて消えていたという。
実は太陽の黒点が少なくなると、巨大地震が発生するという研究がある。
…そういえば最近、日本はもちろん、チリや東南アジアなどで巨大地震は頻発している。
果たして黒点と地震に関係はあるのか?
黒点の減少と巨大地震の関係についての研究を紹介しよう。
太陽の黒点がゼロに!?地球への影響とは?
SWC宇宙天気情報センターのサイトでは、太陽の黒点に関する情報を毎日発信している。
これを確認すると2016年6月3日~6日の4日間、太陽から完全に黒点がなくなっている。
その後、黒点は復活しているものの、数は少なめだ。
SWC宇宙天気情報センターは、黒点の数が今後も少な目で推移するであろうと予測している。今までは平均で30~40くらいの黒点があったが、2016年~2017年は20個くらいになるだろうとしているのだ。
黒点の数は、太陽の活動と密接な関係がある。
太陽の活動が活発化すると磁場が乱れ、その結果として黒点の数が増える。逆に太陽の活動が沈静化すると、黒点の数は少なくなる。
黒点数の減少は、今後の太陽の活動が低下してくるサイン。
2014年4月には太陽に116個の黒点が観測された。そこから比べると、太陽の活動はかなり低下しているといっていいだろう。
とはいえ、太陽の活動や黒点の数は10数年単位で増減を繰り返すので、黒点数が減っているのもそんなに不思議ではない。黒点数がゼロになるのはかなり珍しい現象であるものの、最近では2008年にも「100年ぶりに黒点がゼロになった!!」なんて話題になった。
黒点が減少することの地球への影響も、そんなに激しいものではないだろう。太陽の活動が低下すると、地球全体の温度が下がるといわれている。地球温暖化が騒がれているが、ひょっとしたらこれからの数年で地球の気温はすこしずつ低下していくかもしれない。
では次に、黒点の数と巨大地震には関連性があるのではないか?そんな研究を紹介しよう。
黒点と巨大地震の関係を調べた研究
太陽の黒点数が少ない時期ほど巨大地震の発生頻度が高いことが、湯元清文・九州大宙空環境研究センター長(宇宙地球電磁気学)のチームの分析で分かった。東日本大震災も黒点数が少ない時期に起きた。太陽の活動が地球内部に影響を及ぼす可能性を示す成果として注目される。
参照元:巨大地震:太陽の黒点が少ない時期ほど頻度高く(2011年9月26日毎日新聞)
まず言っておくと、黒点と巨大地震にどんな関連性があるのかは、今のところまったくの不明だ。科学的な根拠はなんにもない。
研究チームは1963~2000年の太陽の黒点数と、同時期に発生したM4以上の地震との関係を調べた。その地震発生数、実に327,625回!!
それらを調べた結果、太陽の黒点が少ない時期に巨大地震が発生する確率も上がっていたという。実際に阪神淡路大震災も東日本大震災も、黒点が少ない時期に起こっていた。黒点がゼロになった2008年には岩手・宮城内陸地震(M7.2)も起きている。
特にリスクが高まるのが太陽風が強まる時期。
黒点が少ないと太陽から吹き出す太陽風が強まるのだけれど、ちょうど太陽風が強い時期にM6以上の地震リスクが高まる傾向があったという。
ひょっとしたら、太陽風が地球や地盤になんらかの影響を与えているのかもしれない。
太陽風が強いと巨大地震が発生する!?
研究の内容を見ると、黒点の数というよりも、太陽風と地震の間になんらかの関係がありそうだ。
というわけで、参考までに東日本大震災のあった2011年3月11日の太陽風はどうだったのか、SWC宇宙天気情報センターの日報から調べてみた。
活動領域1166でMクラスフレアが発生し、太陽活動は活発でした。
今後とも太陽活動は活発な状態が予想されます。
400km/s前後の通常速度を推移していた太陽風速度は、11日14時(UT)頃から上昇を始め、12日0時(UT)頃に高速な500km/s付近へ上昇しました。
太陽風の磁場強度は強い15nT前後へ上昇し、磁場の南北成分は時おり-12nT付近のかなり強い南向きとなったため、地磁気活動は活発となりました。
現在、太陽風の磁場強度はやや強い8nT前後で推移しており、今後の地磁気活動はやや活発な状態が予想されます。参照元:今日の宇宙天気情報(日報:2011年03月12日 15時00分(SWC宇宙天気情報センター)
専門用語がたくさんあってよくわからないけれど、とにかく東日本大震災の発生した時期に太陽の地磁気活動は活発化していたようだ。しかも偶然なのか、太陽風の速度が3月11日の14時から上昇を始めたとある。
東日本大震災の地震発生は14時46分。
これだけ見ると、なんとなく太陽の活動と巨大地震には関係がありそうな気がしないでもない。
ほんとに太陽風と地震になんらかの相関関係はあるのだろうか??
黒点の数なんて気にする必要はない!
最初に申し上げたように、太陽の活動は活発化したり、沈静化したりを結構な頻度で繰り返している。
黒点の数が増えるのも珍しいことじゃないし、黒点の数が減るのも珍しいことじゃない。
「黒点数少ない時期に巨大地震が増えた」という観測もただの偶然である可能性が高いだろう。科学的な根拠なんてなにもないわけだし。
1963~2000年の黒点数と地震の発生が、たまたま関係ありそうに見えただけ、というのが真実なはずだ。
また、たとえ黒点や太陽風が地震発生の一因になっていたとしても、それをもとに地震発生予測をすることにほとんど意味はない。
その理由はふたつ。
ひとつは太陽の影響は地球規模であること。太陽風が日本だけを狙って吹いているわけではないし、世界のどこかで地震が起きるかも?という予測を立てても意味がない。
もうひとつは、太陽風が強く吹くのは珍しいことではないということ。
強い太陽風が起きるたびに「地球のどこかで地震が起きる!」なんて騒いでもほとんど意味はないだろう。
というわけで結論。
黒点数と巨大地震の間になんの相関関係もないし、もしあったとしてもまったく気にする必要ない!!