「加圧シャツ」という商品を知っているだろうか?
加圧シャツはキツキツのサイズで作られていて、着ると上半身がギュッと締め付けられる。
この圧力によって、ただ加圧シャツを着るだけで筋肉がつくという夢のようなアイテムだ。
着るだけで筋肉が増えるというお手軽さから、いろんな会社からたくさんの加圧シャツが発売されている。
…が、こんなシャツで筋肉がつくはずがない。
2019年8月28日に加圧シャツの業者に対して消費者庁が「筋肉がつくなんてデタラメ言ってんじゃね~!」と景品表示法違反(優良誤認)で指導を行った。
「加圧シャツを着るだけで筋肉が付くのか?」
消費者庁は業者に対して裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めた。
業者は資料を提出したものの、その資料は合理的な根拠を示すものとして認められなかった。
当たり前だ。
キツキツのシャツを着るだけで筋肉が付くなら、何の苦労もない。
たしかに「加圧トレーニング」という方法は存在する。
加圧トレーニングは筋肉に外から圧力を加えて血流量を制限することで、トレーニングの効果を増加させるという。
この加圧トレーニングにどれだけの科学的根拠があるのかはわからないけど、少なくともちゃんとハードなトレーニング(筋肉負荷)が必要。
ただ加圧するだけで筋肉が付くわけではない。
おそらく加圧シャツは、加圧トレーニングの効果を踏まえて、あたかも「加圧で着るだけで筋肉が付く」と誤認させるように作られた商品なのだろう。
筋肉が増えるシステムがこちら。
①筋肉に過剰な負荷を与える
②筋繊維が断裂する
③筋繊維修復時に「超回復」で以前よりも筋肉量が増える
筋繊維を増やすには、筋肉への負荷と同時に、たんぱく質やビタミン、ミネラルも大切。
加圧シャツを着て日常生活を送るだけで筋繊維が断裂するわけはないし、筋肉量が増えるわけないのだ。
では、加圧シャツを着たまま、しっかりと筋トレをしたら?
普通に筋トレをするよりも効率的に筋肉量が増えるのではないだろうか??
加圧シャツを着てトレーニングしても加圧トレーニングにはならない
加圧トレーニングは手足の付け根に専用のベルトをギュッと装着し、筋肉に流れる血流量を制限しながらハードなトレーニングを行う。
そのあとにベルトを外して血流量を増加させると、筋肉に発生した乳酸が流れ、体内で成長ホルモンが増加し、普通に筋トレするよりも効率的に筋肉量が増える。
絶妙な筋肉への緊張と緩和が必要なのだ。
効果的な加圧トレーニングには専門家の指導が不可欠だし、ただキツキツのシャツを着ただけで加圧トレーニングになるわけじゃない。
もし加圧シャツでホントに血流量が制限されるのなら、着てから数分後~10分後には上半身全体がしびれてしまうだろう。
正座をした後の足みたいに。
加圧シャツに筋肉の血流量を低下させる効果はない。
つまり加圧シャツを着て筋トレをしたからと言って、筋肉量が余計に増えるわけではないと考えられる。
そもそも加圧シャツを着ての筋トレで効果がアップするという科学的根拠(エビデンス)は一切ない。
ちなみに加圧シャツ業界は、2019年3月22日にも処置命令を受けている。
この時に処置命令を受けたのは9の業者とその商品。
- パンプマッスルビルダーTシャツ
- 鉄筋スパッツ
- 鉄筋スパルタ(腹巻)
- 金剛筋シャツ
- 金剛筋レギンス
- 鉄筋シャツ
- スレンダーマッチョプラス(シャツ)
- マッスルメイク(シャツ)
- SASUKE(シャツ)
- マッスルX
- マッスルX斬
- 阿修羅圧
- アシュラーツ(シャツ)
- 阿修羅烈
- アシュレーツ(スパッツ)
- THE BEAST
- THE GHOST
これらの加圧シャツには、着るだけで筋肉が増えるという効果はないし、筋トレの効果をアップさせる効果もない。
得られるのはキツキツのシャツによって、ちょっとだけ身体に圧力が得られるってことだけ。
刺激的な宣伝文句が並んでるけど、そこだけは誤解しないようにしよう。
もし筋肉ムキムキになりたいのなら、しっかりとプロテインなどの栄養を摂り、ひたすらに筋肉をいじめ抜くしかない!!
…筋肉には楽な道はないみたいだ。
オススメ記事:たった5分で血圧改善、脳や身体機能を高めるIMST(呼吸筋力トレーニング)のやり方
消費者庁が処置命令!はくだけで痩せる矯正下着もまったく効果ナシ
着用するだけで著しい痩身(そうしん)効果が得られるかのようにうたった女性用下着には根拠がないとして、消費者庁は20日、通信販売業「トラスト」(東京都新宿区)に対し、景品表示法違反(優良誤認)で再発防止などを求める措置命令を出した。
参照元:「はくだけで痩せる」根拠なし=通販会社に措置命令-消費者庁
着るだけで筋肉が付く加圧シャツと同じように、「はくだけで痩せる女性用下着」も消費者庁から処置命令が下された。
問題の商品は「ヴィーナスカーブ」(ガードル)と「ヴィーナスウォーク」(ソックス)のふたつ。
消費者庁には痩せる効果がないと300件以上の苦情が寄せられていたとか。
このダイエット下着、人間工学に基づいて設計されているという。
肥満の原因は骨盤のゆがみで、その骨盤のゆがみをはくだけで矯正できる。だからダイエットになる。
…とまあ、よく考えればありえないような理論で商品を販売しており、消費者庁に手痛いツッコミを入れられたわけだ。
まあ、骨盤がゆがんでようが、ゆがんでまいが、食べれば太るのはかわらないからね。
とにかく「着るだけで筋肉が!」とか「はくだけでダイエット!」とか、そんな「○○するだけで○○が!!」という商品にはあまり手を出さない方がいいだろう。
人間だれだって楽はしたいし、努力だってしたくない。
だけど楽で努力する必要がないのに、成果だけ得られるなんてことはない。世の中そんなに甘くないのは、生きていれば痛いほどわかるだろう。
このような人間の”なまけ心”につけこんだ怪しげな商品は、今後もたくさん販売されるだろうし、現在もいろいろと販売されている。
消費者庁もすべての商品に対して、いちいち対応することはできない。
だからこそ、私たちはそんな怪しげな商品を見極め、選ばないようにする判断力を養う必要があるだろう。
たとえばサプリメントを選ぶのであれば、下記のポイントを抑えておく必要がある。
①特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品を取得している
トクホや機能性表示食品だからといって、必ずしも効果があるとは限らない。
だけどまったく何も取得していないサプリよりは信頼性は上だ。
②レビューを確かめる
人気の商品はレビュー数も多い。そのレビューの内容をしっかりと呼んでみよう。
☆5の絶賛レビューや、☆1の最悪レビューはあまり参考にせず、☆2~☆4あたりのレビューを読めば、よりリアルな口コミを確認出来るだろう。
③製造販売元を確認する
ダイエットサプリメントを選ぶには、その製造販売元をチェックするのも大切。
資生堂とかファンケルとかDHCとか、誰もが聞いたことがある大企業なら、その成分もわりと信頼がおける可能性が高い。
逆にまったく聞いたことがないような企業の場合、サプリの製造を外注していたり、内容も品質も悪い可能性がある。サクラを利用して不自然なレビューを演出したり、広告費を大量投入してダイエットサプリメント・ランキングの上位を占めたりする傾向もある。
また、まれにパッケージも英語の海外製輸入サプリメントが販売されているけど、そういった商品は安全性の面からも避けた方がいいだろう。
また、宣伝がやたらと派手な商品も要注意。
もし悪質な商品をつかまされたら…消費者庁に苦情を入れちゃおう!!!