夜に布団に入って眠ろうとすると、足がムズムズしてきて眠れなくなる。
仕事中に足がムズムズして集中できなくなる。
このような症状のことをレストレスレッグス症候群、またの名を「むずむず脚症候群」と呼ぶ。
「な~んだ、足がムズムズするだけじゃないか。痛みを感じるわけじゃないし、別にそれくらい平気でしょう」
と思うかもしれないが、実はむずむず脚症候群は恐ろしい病気だ。
悪化すると眠れなくなるし、集中力も欠如する。
強いストレスをずっと感じ続けるために、さまざまな体調不良の原因になるし、うつ病の原因にもなる。
むずむず脚症候群は侮って放っておくと危険な病気といっていいだろう。
しかしその発症システムは未だ明確には解明されていない。主要な原因としては、脳内伝達物質のバランス崩れてしまっていることが原因と考えられている。
むずむず脚症候群の原因や、むずむず脚症候群に効く漢方、オススメの食べ物を紹介したい。
むずむず脚症候群の原因
むずむず脚症候群の原因は、脳内伝達物質ドーパミンの働きが低下するからという説が有力だ。
人間の皮膚から感じる刺激や痛みは、実は脳内で適正にブロックされている。ちょっとした刺激なら脳が勝手に感じないようにするし、痛みも活動を邪魔しないくらい適度に軽減されているのだ。(脳ってスゴイ!!)
これを専門用語で「下向性疼痛抑制」(かこうせいとうつうよくせい)と呼ぶ。
慢性的なストレス、不規則な生活、栄養不足などで加工性疼痛抑制の働きが低下すると、ちょっとした刺激が増幅され、痛みやムズムズを感じてしまう。
ストレスや疲れでむずむず脚症候群になりやすくなるのも、この下向性疼痛の不活性が原因だ。
下向性疼痛抑制はドーパミンによって痛みや刺激をブロックする。つまり、ドーパミンの分泌が少ないと、痛みを感じやすくなるし、むずむす脚症候群になりやすくなるってこと。
むずむず脚症候群の特徴
- 朝より夕方から夜にかけて生じる
- 男性より女性に多い
- 中年期以降に発症するケースが多い
- 寒い時期より暖かい季節に生じやすい
では、むずむず脚症候群にはどのような対策が考えられるのだろうか。
むずむず脚症候群対策まとめ
むずむず脚症候群にオススメの食べ物
先ほども説明した通り、むずむず脚症候群の原因は脳内伝達物質ドーパミンが不足してるからと考えられている。
だとすれば、ドーパミンの分泌を増やすことでむずむず脚症候群の症状を軽減させることが期待できるだろう。
ドーパミンを増やすには鉄分を積極的に摂取するのがオススメだ。
ドーパミンは鉄分が不足するとその分泌量が減ってしまう。(月経があり貧血気味な女性にむずむず脚症候群が多いのはそのためだろう)
鉄分はドーパミンの生成に必要不可欠な栄養素であり、ドーパミン受容体が正常に機能するためにも大切な役割を持っている。
そのため、鉄剤や鉄分のサプリメントで不足した鉄分を補うことがむずむず脚症候群への有効な対策となる。
実際、病院でむずむず脚症候群の治療として鉄剤が処方されることもある。
鉄分と合わせて葉酸も摂取するのいい。
葉酸はドーパミンやセロトニンの合成を助ける作用を持っていて、葉酸が不足するとむずむず脚症候群やうつ病のリスクが高まるといわれている。
ちなみにうつ病患者は血中葉酸濃度が低いという研究結果もある。
なんだか気分が落ち込みがち…しかもむずむず脚症候群で眠れない…そんな症状を持っているのなら葉酸を積極的に摂取すれば改善するかもしれない。
さらに大切なのはドーパミンの材料となるチロシンというアミノ酸。
チロシンはドーパミン前駆体となって、ドーパミンの分泌を増やす作用がある。
アミノ酸はタンパク質を構成する物質なので、タンパク質をしっかり食べるのがよい。
これらの栄養素をすべて含んだオススメの食べ物はレバーだ。
豚レバー、牛レバー、鶏レバー。
レバーには豊富な鉄分、葉酸、タンパク質が含まれており、むずむず脚症候群にオススメの食材だろう。
むずむず脚症候群にオススメの漢方
辛いむずむず脚症候群の症状には滋陰降火湯(じいんこうかとう)という漢方が有効だという。
むずむず脚症候群で悩んでいて、普通の治療を行ってもイマイチ効果のあらわれなかった患者に、滋陰降火湯と桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)の2つの漢方を試してもらったところ、1週間で睡眠の質が改善し足のムズムズも軽減した。
…そんな症例が報告されている。
さらに滋陰降火湯と柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)を服用したら、2週間程度でむずむず脚症候群が良くなったという報告も。
滋陰降火湯は体内の”熱”を下げたり、咳を鎮める効果を持った漢方。身体全体の潤いを保ち、乾燥を防ぐ効果もあるという。
特にむずむず脚症候群と関連しているように感じないけれど、「滋陰降火湯でむずむず脚症候群が改善した」という症例があるのだから、普通の治療で満足できない場合は試してみる価値はあるだろう。
滋陰降火湯は漢方薬屋さんに行けば手に入れることができる。
そこで相談すれば、自分の体質や症状に合わせて滋陰降火湯と共に複数の漢方をオススメしてくれるだろう。
日常生活の注意点
むずむず脚症候群を悪化させないためには、コーヒーやお酒、タバコなどの刺激物を控えることが有効とされる。
また、ムズムズする患部をさすってマッサージしたりすると、皮膚の不快感が軽減する。
日常的な運動習慣も大切。
運動は近くを刺激し、ムズムズとした感覚を軽減するし、身体を動かすとドーパミンの分泌を促すこともできる。
また、「楽しいことをする」というのもオススメ。
好きな趣味に没頭する。
映画や音楽を楽しむ。
新しいことにチャレンジする。
そうすれば、脳内のドーパミンは増えるだろう。
またドーパミンは楽しい気分の時に分泌されるので、例えば宝くじを買って「3億円当たったら何を買おう?」なんて妄想しているときもたくさん分泌されている。
むずむず脚症候群に悩んで落ち込むよりも、いろんな方法で気分をリフレッシュして楽しい気分で過ごすよう心がけることが大切だ。
むずむず脚症候群を改善する日常生活の注意点
- 刺激物を控える
- 患部をマッサージする
- 運動を心がける
- 楽しいことや新しい刺激を受けることをする
- 妄想を楽しむ
むずむず脚症候群まとめ
むずむず脚症候群の原因は遺伝的な要素や体質、生活習慣などが関わっているとされ、明確には判明していない。
しかし脳内のドーパミンという物質が不足しているから発症するという説が有力になっている。
ドーパミンを補うには鉄分をしっかりと摂取するのが大切。
特に貧血気味の方は注意したいところ。
オススメはドーパミンの分泌を促す葉酸やチロシンも含んだレバー類。
もちろん、バランスの良い食事を心がけるのも大切だ。
次に、むずむず脚症候群に効く漢方は滋陰降火湯(じいんこうかとう)。
滋陰降火湯は普通の薬局では置いていない可能性があるので、もし手に入れたい場合は漢方の専門店で相談してみよう。
むずむず脚症候群は放っておくと不眠症の原因になるし、生活の質を著しく下げてしまう可能性がある。
こういった自分でできる対策を行いつつ、もし重症化してしまったらちゃんと病院に行って診察を受けることも大切だ。