ピーク・エンドの法則によると、それが良い思い出なのか悪い思い出なのかを判断する際の基準はふたつあるという。
ピーク=思い出の中で最も楽しかった時、逆に辛かった時。
エンド=その思い出がどのように終わったのか。
ピーク・エンドの法則を活用した「楽しいデートの作り方」を考えてみよう。
ピークエンドの法則とは?
ピーク・エンドの法則とは、出来事の中で人間の記憶に残る最も印象に残るポイントは、ピーク(絶頂期)とエンド(終わり方)であるという法則だ。
思い出が楽しかったのかつまらなかったのか、それを判断する際にピークとエンドを無意識に判断基準にしている。ピークとは思い出の中で最も楽しかった時、逆に最もつらかった時。エンドはその思い出がどんな終わり方をしたのかについて。
例えば2泊3日で東京に旅行したとして、その旅行のクライマックスは2日目に訪れる東京ディズニーランドだったとしよう。
旅行を終えてその旅を思い出すとき、大事なのは東京ディズニーランドでの思い出と、その旅がどんな終わり方をしたのかという事になる。1日目に立ち寄った有名なお寺の事なんか、まったく覚えていないのだ。
思い出に残るのは「ピーク」と「エンド」である。このピークエンドの法則を活用して日常生活をもっと楽しくできないだろうか?
デートにピークエンドの法則
例えば思い出に残る楽しいデートとはどんなものなのか?
それはデートのメインとなる場所、それは動物園や遊園地かもしれないし、美味しいレストランかもしれない、それらを楽しむ事が大事…というのは当然のことだ。
実はデートのメインと同じくらい大事なのが”別れ際”であると、ピーク・エンドの法則は教えてくれる。
デートで行く場所は悩んでも、その日の終わり方に気を使うってことはあんまりしないんじゃないだろうか?
1日ずっと楽しかったのに、別れ際でケンカしたり、そっけない態度を取ったりしたら、後日その日を思い出した時に嫌な気分になってしまう。せっかくの1日が台無しになってしまうのだ。
逆に言えば、1日なんかつまらなかったな~なんてデートだったとしても、終わりが良ければいいのだ。イマイチな一日だったとしても、最後の最後に挽回のチャンスが回ってくると言える。
デートの内容はその都度悩んでもらうとして、楽しい別れ方について考えてみよう。
デートでのサヨナラの仕方
最悪のサヨナラを考えてみよう。
「今日も楽しかったね、さよなら~」とお互いが分かれた後、ふと後ろを振り向いてみると、もうかなり速足で去って行っていて、しかも携帯をいじっている。相手への想いや一日の余韻などが感じられない圧倒的ドライさ。これを見たら、なんか一日が台無しになった気分になるだろう。
では、逆に理想的なデート終りの別れを考えてみよう。
楽しいデートと夕食が終わり、別れの時間。しかしお互いに別れたくない思いから、なんだかんだで「じゃあね」という言葉を口に出来ずに小一時間立ち話。しかる後に「明日も早いから、そろそろ帰ろうか…」とお互い別れるも、歩き出して振り返ると相手も振り返っている。それを見ると嬉しくなり、「バイバイ」と大きく手を振る。これを小一時間。角を曲がって完全に姿が見えなくなったら、すぐにラインかメールで連絡。「今日も楽しかったよ!」このメールのやり取りが帰宅後も続き、結局のところ、夜更しになってしまう。午前1時「おやすみ、もう返信はいらないよ」からさらに続くメールの応酬小一時間。
あくまでも一例に過ぎないが、これくらいやっておけば完璧な別れのシチュエーションだろう。
これはやりすぎにしても、別れの時は楽しい雰囲気を作るとか、別れるときは相手の姿が見えなくなるまで笑顔で手を振るとか、ありがとうメール送るとか、それくらいすれば1日の印象がずいぶんと違うものになるのではないだろうか。
ピークエンドの法則の活用例
ピークエンドの法則を知ればプレゼントを渡すタイミングもわかる。
すなわち、デートの別れ際。さっとプレゼントを渡してさよならすれば、きっとその1日の思いは一番の良い記憶として末永く残るだろう。
ピークエンドの法則でネットやラインでのコミュニケーションでも、ピークと終わり方が大事とわかる。
最後の最後に「生まれてきてくれてありがとう」とか「ずっと愛し続けるね」とか「君のためなら死ねる!」などといった、ヘドロよりも臭いセリフを送ってみよう。相手には冗談かと思われるかもしれないが、きっと終わり方としては悪くないのではないだろうか。
ピークエンドの法則はもちろん人生そのものにも活用できる。
「終わり良ければ総て良し」ということわざがある。それはピークエンドの法則にそのまま当てはなるだろう。
それと共に「武士道とは死ぬこととみつけてたり」ということわざもある。いかにして死ぬのか?それがその人生を決めるのだ。
「ここは俺にまかせてお前たちは逃げろッ!!…大丈夫、すぐに追いつくさ。振り返らずに行くんだッ!!」
なんて死にざまだったら…ピークとエンドが一緒に来て、最高の人生なのではないだろうか。
ピークエンドで一日を楽しく過ごすために
ピークエンドの法則でもって1日を楽しく思い出すには、1日の内にひとつだけ楽しい思い出を作る。そして布団に入ったら幸せな気分で眠るというのが大事。
夕食の後にちょっと豪華なデザートを用意する。
寝具にはこだわりを持つ。
お気に入りの入浴剤を使う。
例えばこんなささやかな工夫をすれば、その日1日が楽しく思い出せるのかもしれない。
「昨日何やってた?」
この問いに「あれ、昨日何やってたっけ?まあ普通の一日だったよな…」なんて答えじゃなく、何か一つでも思い出せるイベントがある事。それは美味しかったカレーかもしれないし、面白かったテレビ番組でもいい、そういったものがあることが良い一日で、その積み重ねが良い人生になるのだろうね。