場ゲロ(読み方:ばげろ)とは「その場でゲロをしてしまう」という意味の言葉。
つまり飲み屋や居酒屋でお酒を飲み過ぎて気持ち悪くなったとき、トイレに駆け込んだりできずにその場で嘔吐してしまうことを指す。(場ゲロをすると罰金!なんて居酒屋もあるとか)
私は自慢じゃあないが、お酒がめちゃくちゃ弱い。
飲み会でも身をわきまえずお酒を飲んで、ゲロったことが何度もある。
場ゲロしそうになったことも何度もある。(いちおう場ゲロはしたことないよ)
しかし何度も失敗を繰り返す中で、歳を重ねれば重ねるほど嘔吐することもなくなったし、飲み会で気持ち悪くなることもなくなった。
では、お酒が強くなったのかと言うと、そんなことはまったくない。
ただ「嘔吐しない飲み方」を実践しているだけだ。
忘年会・新年会のシーズンや新歓に合コン。
飲み会というものは一年中行われる。
お酒を飲んで気持ち悪くなっちゃうタイプの人のため、私の経験を踏まえて、飲み会でゲロをぶちまけて人生を台無しにしないための3つのコツを紹介しよう。
悪酔や二日酔いをしないために、そして何よりも楽しくお酒を飲むためにね。
なぜ飲み過ぎると嘔吐したくなるのか?
まずは、なぜお酒を飲み過ぎると吐きたくなるのかを簡単に説明しよう。
アルコールを体内に摂取すると、有害物質のアセトアルデヒドが生成される。
アセトアルデヒドが血管を刺激するので顔が真っ赤になるし、頭はクラクラするし、身体はフラフラしてまっすぐ歩けなる。
そんなアセトアルデヒドの作用の一つに「嘔吐中枢の刺激」がある。
つまり、飲み会でゲロを吐く理由は、アルコールの摂取により体内でアセトアルデヒドが発生するためだ。
このアセトアルデヒドを無害な酢酸に分解する酵素はALDHと呼ばれる。
ALDHの量は体質で決まっていて、生涯増えることも減ることもない。
この酵素の量が多ければ酒に強い、少なければ酒に弱いということになる。
「いや、オレ酒飲んでたら強くなったよ!」
…という人もいるかもしれないが、それはALDHが増えたわけではなく、アルコールに対しての感覚が麻痺していて、鈍感になっているだけ。
こういうタイプが一番酒で身体を壊しやすいので注意が必要だ。
ちなみに白人や黒人には酒に弱い人は一人もいないのだとか。
黄色人種だけがALDHを持たない体質の人がいるという。
自分が酒に弱い体質だとしたら、「頑張って飲み続ければお酒に強くなるはず!ビールの美味しさだってわかるはず!!」なんて飲みまくっても無意味。
ただ身体を壊すだけなので、飲み過ぎないことが大事だ。
…しかしながらそんなこと言ってられないのが、忘新年会シーズン。
酒を飲み過ぎないことは大前提だけど、ゲロを吐かないために私たちに出来ることはなんだろうか?
嘔吐防止のための3つの対策!!
方法1:空きっ腹にいきなり酒はやめる
飲み会が始まると「何する?」「ビール?ビールでいい?」「オッケー!じゃあ店員さん、生5つね!!」なんて、酒好きで仕切るのが好きな奴がとにかく早く酒が飲みたくてこんなことを言い出すもの。
(おれは梅酒のソーダ割が良かったのに!)
なんて思っても後の祭りだ。
…が、これが悪酔いの元になる。
飲み会では酒を飲む前にまず何か食べる事が大事!!
すきっ腹にいきなりのアルコールは吸収が早くなり危険だ。
最初の乾杯はとりあえず一口にしておいて、まずなにか腹に入れよう。
オススメは意外にも脂っこい食べ物。
最初に胃の中に脂っこい食べ物を入れておくと、消化吸収に時間がかかり、結果的にアルコールの吸収を緩やかにしてくれる。
居酒屋にあるメニューだと、ドレッシングのかかったサラダがいいだろう。
ドレッシングの脂分がアルコールの吸収を穏やかにしてくれるはずだ。(フライドポテトや唐揚げでもOK!)
またアサヒグループホールディングスとカゴメの共同研究によるとトマトが血中アルコール濃度を低下させるという事実が判明した。
トマトにアセトアルデヒドの代謝酵素を活性化させる作用があるためだ。
人間での実験は、トマトジュースを飲んでいた方が、飲んでいない時より30%も血中アルコール濃度が下がったという。
なので、ドレッシングのかかったトマトのサラダとかトマトジュース、カクテルならブラッディマリとかもいいかもしれない。
方法2:水分補給をしっかりと
酒を飲むときはしっかり水も飲む。
これが大事。
これは飲んでいる最中も、飲んだ後も、飲んだ次の日もだ。
喉が渇いたときはビールが最高!なんて話も聞くけど…
酒で水分補給は出来ない!
ビールは1リットルでも飲めるのに、水は1リットルも飲むことができない。
これは水は大腸で吸収されるのに対して、アルコールが胃で吸収される特徴を持っているから。
だから水と比べても、アルコールはたくさん飲めるのだ。
お酒と水は別物と思っていい。
ビールばっかり飲んで、肝心の水を飲まなければ、血中アルコール濃度は高くなるばかり。
さらに利用作用が強いのでおしっこをすると、それはそれで体内の水分が足りなくなる。
そんな危険な状態になっているのに水をしっかり飲まないと、血液がドロドロになり血行不良になってしまうだろう。それが悪酔・二日酔いの原因にもなる。
水分をたくさん飲めば、それだけで血中のアセトアルデヒド濃度を下げる効果がある。
なんか酔ってきた~気持ち悪いかも、と思ったらとにかくガブガブと水を飲もう。
方法3:飲んだ後に運動しない
飲んでいる最中、トイレに行こうと思い席を立つ。
すると突然ゲロを吐きたくなったことはないだろうか?
私は、ある。
座っているときは平気だったのに、立った途端に急に”来る”。
なにが?
ゲロがだ!
胃袋から食道の奥の扉をガンガンとブチ破ろうとしやがる。
鏡を見ないでも、もう一瞬で顔面が蒼白になるのがわかる。
フラフラとトイレに行き…そしてぶちまける。
泣きながら。
このときに間に合わなかったら…
おそらく”場ゲロ”になるのだろう。
急に立つと気持ち悪くなるのは、恐らく全身の血流が活発になるためだろうと思われる。
ちなみに科学的根拠はない。
個人的な経験と常識から言わせてもらうのなら、飲んでいる時は激しい運動は絶対にしない方がいい。
てか、動かない方がいい。
トイレに行くとき、帰りに歩いているとき、かなり危険なゲロタイムだ。
街角や駅構内でゲロをぶちまけるのも、歩くという運動行為が原因になっているのだろう。
出来る事なら水をたくさん飲んで、しっかりと休憩したあとに、席を立って歩くことをお勧めする。
現実的には飲み会の中盤以降は、さりげなく酒を控えて水やノンアルコールカクテル、ソフトドリンクにシフトする。
そうすることで、体内で負荷なくアセトアルデヒドの分解が進み、飲み会終了時点で急に運動しても問題のない状態になるだろう。
(余談)悪酔い防止にウコンは効かない!?
飲み会の前にコンビニでウコン・ドリンクを買ってきて、わざわざみんなの前で飲み干して「今日は飲むぜぇ~!」なんて言っているヤツをみたことはないだろうか?
…ウコンが飲み会前に効くというイメージがあるが、実は科学的な根拠に乏しい。
ウコンの効果は、消化不良の改善・胃の働きを助けるというもの。確かに胃の働きが良くなれば、食べ過ぎに効果的かもしれないが、飲みすぎに対してはそれほどの効果はない。
しかも、気を付けなければならないのは、ウコンは肝臓に負担をかけるということ。
お酒を飲むと、アルコールの分解でさらに肝臓に負担がかかる。
まさに肝臓にとっては、ダブルの負担になっちゃうのだ。肝臓に病気がある人は、飲むのを控えた方がいいとされている。
とにかく、「ウコン飲んだから今日は大丈夫だ!!」なんて過信しないようにしよう。
飲み屋のおやじを狼狽させた体験談
昔、新宿の思い出横丁で友人と飲んでいた時のこと。
その日もたった1杯のアルコールで顔を真っ赤にしていたわけだけど、つまみを持ってきた店のオヤジさんの前で戯れに「うう”っ!!」とゲロをしちゃうマネをしてみた。
「ああっ!!!」
オヤジさん、めちゃくちゃビビってた。
そうしてわたしのイタズラ気にづくと「もう、かんべんしてよぉ~」と笑った。
しかしよく考えるとタチの悪いイタズラだったと反省している。
あれだけビックリしたのも、店側にとって場ゲロは考えうる最悪の事態だからだろう。
場ゲロ、絶対いけない!
というわけで、場ゲロや嘔吐を防ぐための3つのコツはこちら。
①すきっ腹にいきなり飲まない
②水分補給を十分すぎるほど十分に
③飲んだ後の運動に気を付ける
これらをしっかりと守るのが大事。
でも結局のところ一番大事なのは「自分の限界を知る」ということだろう。
嘔吐するほど飲まない、ということ。
学生の頃の誕生日、大人ぶって酒でも飲もうと、たったひとりで飲めもしないウイスキーを購入。
ひとり酒で孤独なワンルームでゲロを吐くという悲しい思い出がある。
お酒は節度を守って楽しく飲むのが大切。
私は「飲め!」といわれても飲まないし、1杯目からアルーアミルクを頼むこともあるし、2杯目で黒烏龍茶頼んじゃうこともある。
それでも、飲み会は問題なく楽しい。
場ゲロはもちろん、トイレでゲロをぶちまけるのも、まだまだ自分を知らない学生時代だけにしておきたいものですね。
追記:アメリカの専門家が提唱する二日酔いを防ぐ3つの方法
CNNでアルコール乱用に詳しい米ブラウン大学のロバート・スウィフト教授による”二日酔いを防ぐ方法”が紹介されていた。
わたしの経験則よりはるかに科学的根拠があるだろうと思うので、そちらも簡単に紹介したい。
①満腹状態で飲む
- 胃の中に食べ物があると、胃の内容物の排出速度が遅くなり、二日酔いの症状が軽減される
- もし胃が空っぽの状態で飲んだとすると、純粋なアルコールが胃で希釈されないまま、すぐに腸に受け渡される。しかし胃の中に食べ物があれば、胃液と酵素で食べ物とアルコールが混ぜ合わされ、少量の食べ物のみが腸に受け渡される
- アルコールは胃で希釈されるので、吸収されるアルコールはほんの少量で済む
②水分補給
- アルコールが液体と混ざれば希釈され、腸に行ってもそれほどの刺激にならない。腸の炎症や胃の粘膜の炎症は起きにくくなる
- 二日酔いの主な原因は脱水や、水分およびビタミンやミネラルの喪失にある
- アルコールによる脱水の影響は女性の方が大きい可能性があり、飲酒量は少なくても男性より二日酔いになりやすい傾向がある
③添加物の少ないビールやワインを選ぶ
- メーカーが味や香り付けのために添加する化学物質(コンジナーと呼ばれる)、ギ酸エチル、酢酸エチル、n―プロパノール、イソブタノール、n―ブタノール、イソペンタノール、イソアミルアルコールといった不純物の添加量は毒にならない程度の少量だが、その影響に対して過敏な人もいる。
- 全般的に色の濃いビールやスピリッツ類の方がそうした不純物が多い傾向があり、従って二日酔いの原因になりやすい。
- 敏感な人にアレルギー反応を引き起こすことで知られる亜硫酸塩という化学物質も、発酵による自然の副産物として少量ながら発生する。ただ、保存期間を延ばすため、亜硫酸塩を製品に添加するビールやワインのメーカーも多い
- 甘いワインや白ワインは赤ワインよりも亜硫酸塩の添加が多い傾向がある。ただ、赤ワインに多く含まれるタンニンは、亜硫酸塩と同様、敏感な人にアレルギー反応を引き起こすことがある
- バーボンにはウォッカの約37倍のコンジナーが含まれる
参照元:あの新年の二日酔い、最初から防ぐ方法とは 米専門家が解説(CNN)
アメリカの専門家が語る新しい知見として最も重要なのは、「質の悪いアルコールを飲むな」ということに尽きる。
つまりストロング系チューハイを飲むと二日酔いしやすい!ってこと。
ストロング系チューハイは悪酔いしやすいことで知られているし、驚くほど多量の有害な化学物質は混入されているのだろう。
どうせ飲むなら”色の薄いアルコール”を選ぶのがいいみたいだ。