例えば地震雲とか、珍しい深海魚が浜辺に打ち上げられるとか、いろんな地震の前兆現象とされる出来事がある。
では、いつか起こるとされる南海トラフ巨大地震での前兆現象は何なのだろうか?
東日本大震災をきっかけに飛躍的に進歩した最新の地震研究でわかった、「南海トラフ巨大地震の直前に起きること」を紹介しよう。
マグニチュード7以上の”前震”が発生する
南海トラフ巨大地震のような大規模な海溝型地震の場合、その前震として想定地域にマグニチュード7以上の地震が発生する可能性がある。
南海トラフ巨大地震が発生するであろう、想定地域はこちら。
この地域でマグニチュード7.0以上の地震が発生した場合、その直後には南海トラフ巨大地震のリスクが高まっていると考えられる。
例えば2011年3月11日の東日本大震災でも、その2日前の3月9日には三陸沖でマグニチュード7.3の地震が発生している。
今になって思えば、あれは巨大地震が発生する前の前震だったというわけだ。
政府の中央防災会議が作成した報告書によると、南海トラフ巨大地震に前兆現象として「半割れ」や「一部割れ」が起きる可能性があり、もしそのような地震が発生した場合、沿岸住民に避難を呼びかける可能性があるという。
半割れは先ほどの画像の赤い太字で囲まれた地域でマグニチュード8レベルの地震が起きること。
一部割れは、同じ地域でマグニチュード7レベルの地震が発生することを指す。
一部割れよりも半割れのほうが、南海トラフ巨大地震を誘発する可能性が高いという。
政府の中央防災会議でも、南海トラフ巨大地震の前兆現象として単発の巨大地震が発生する可能性が高いとみているわけだ。
南海トラフ地域でマグニチュード7以上の地震が発生したら、それは南海トラフ巨大地震の前兆現象かもしれない!
新月や満月の時期にマグニチュード5以上のが増える
東京大学の研究チームが40年以上もの地震データを集計し、徹底的に分析をした。
その結果、潮汐力(ちょうせきりょく)と地震の発生には明らかな相関関係があることがわかった。
つまり、地球が月や太陽の引力を大きく受けると、それが大地震の引き金になる可能性が高いということ。
具体的には、新月や満月、大潮が発生していると、地震リスクが高い時期となる。
地球そのものが太陽系から受ける引力そのものに、大地震を引き起こすパワーはない。
だけど、ひずみが溜まりに溜まった南海トラフの断層がズレる最後の一押しになる可能性はある。
東日本大震災が起こった東北地域の地震データを調べると、1976年~2001年あたりまでは、潮汐力と地震に何の関係も見いだせなかったという。
だけど、2001年以降には新月や満月などの潮汐力が強まる時期に、マグニチュード5以上の地震が増えていたというデータがある。
南海トラフ巨大地震は巨大なプレートとプレートがぶつかり合い、その”ひずみ”が解放されることで発生する。
ひずみが溜まった状態だと、ちょっとした力が加わるだけで地震が発生しやすくなる。
…だとしたら、南海トラフ巨大地震の前兆現象として、新月や満月の時期に地震が増える可能性は高いだろう。
スロースリップ(ゆっくりすべり)が起きる
スロースリップ(ゆっくりすべり)とは、プレートの境目の一部分がゆ~っくりと滑る現象のこと。人間では感じ取れないくらいの微小な地震が発生する。
この現象が注目を浴びたのが、あの東日本大震災。
東日本大震災の1か月ほど前から三陸沖ではスロースリップが観測されており、専門家の間ではスロースリップが海溝型の巨大地震を誘発した可能性が指摘されている。
南海トラフ巨大地震の前兆現象として、地震想定地域で広くスロースリップが観測される可能性が高い。
ちなみに気象庁は2018年12月に「紀伊半島沖のプレート境界深部でスロースリップが継続している」と発表している。
南海トラフ地震の想定震源域ではプレート境界の固着状況に特段の変化を示すようなデータは今のところ得られておらず、南海トラフ沿いの大規模地震の発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていないと考えられます。
参照元:平成30年12月07日 気象庁地震火山部 南海トラフ地震に関連する情報(定例)
南海トラフ巨大地震のリスクが高まっているわけではない…
だけど、同地域にスロースリップが起きているのは確かなようだ。
関連記事:ゆっくり地震(スロースリップ現象)が大震災を呼ぶ!?その理由と揺れ方の特徴について。
内陸部で地震が起きる
南海トラフ巨大地震は四国や和歌山県の沖に位置する「巨大なプレートの境目」に蓄積されたエネルギーが解放されることで発生する。
この海底にあるプレートに溜まった圧力は、陸のプレートをも圧迫し、内陸部の地下にある岩盤を破壊したり、内陸部にある活断層のひずみを増加させる。
そのため、南海トラフ巨大地震の直前には内陸の地域でも地震が増える可能性がある。
地震の研究者によると、過去の南海トラフ巨大地震の歴史を遡ってみても、地震発生の前後には明らかに内陸地震が増えているという。
もし東南海地域の内陸で地震が増えてきたのなら、それが南海トラフ巨大地震の前兆現象かもしれない。
太平洋沿岸で巨大地震が起きる
南海トラフ巨大地震の前兆として、太平洋沿岸で巨大地震が起きる可能性がある。
太平洋プレートの境目には火山が多く、しかも地震も多い。それぞれが相互に影響しあっている。
例えば「バヌアツの法則」という有名な法則がある。
これは太平洋の南西にあるバヌアツで巨大地震が発生するとそれと連動して日本でも大きな地震が起きるという、科学的根拠のない法則のことだ。
しかし、一概に科学的根拠がないとも言い切れない部分はある。
2018年にオレゴン州立大学が過去44年の地震データを解析した結果を、ネイチャー。サイエンティフィック・レポートに発表した。
その研究によると、ある地域でマグニチュード6.5以上の巨大地震が発生すると、その地域地と地球を挟んで反対側の地域でも大きな地震が起きるリスクが高まるという。
巨大地震は、遠く離れた地域でも影響を与え合う。
東日本大震災の直前にも、ニュージーランドで巨大地震が発生しており、自衛隊も救援に駆け付けていた。
南海トラフ巨大地震の前兆現象として、日本の反対側であるチリの沿岸や、バヌアツ諸島、ニュージーランドなどの地域で巨大な地震が発生する可能性は十分あり得るのではないだろうか。
非科学的な地震の前兆現象まとめ
- 半割れや一部割れといったマグニチュード7以上の地震
- 潮汐力が強い時期に地震が頻発する
- スロースリップ
- 内陸部で地震が多くなる
- 太平洋沿岸での巨大地震
以上の5つがある程度は科学的根拠のある、南海トラフ巨大地震の前兆現象だ。
地震の発生メカニズムはまだ正確に解明されてないし、これらの前兆現象が正しいかどうかはわからないけれど。
では次に、地震雲とか、ナマズが騒ぐとか、科学的根拠の乏しい地震の前兆現象に関する記事をまとめて紹介したい。
- 変な虹が大地震の前兆現象?椋平虹(むくひらにじ)の共通点と発生メカニズムについて
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科学的な根拠はないけど…
海辺を散歩していたら、浜辺にメガマウスとリュウグウノツカイが流れついていて、見上げれば地震雲と椋平虹が出ていて、隣を見ると見たことのない笹の花が開花していたとしたら…
それは南海トラフ巨大地震の前兆なのかもしれない!!