危機対策

アメリカの地震予測システム「シェイク・アラート」で事前に地震は予測できるのか?

2016年8月28日

「地震が○月×日に発生します!」

という地震予報はとっても難しい。それは多くの地震学者も同意見だ。だけど、大きな地震が発生する前に早期警報は可能かも知れない。そんなニュースが飛び込んできた。

アメリカでも地震が多い西部で、ShakeAlert(シェイク・アラート)という高密度地震計ネットワークがテスト中だというのだ。

はたしてシェイク・アラートは地震の発生を事前に察知できるのだろうか!?

高密度地震計ネットワークShakeAlert(シェイク・アラート)

アメリカでシェイク・アラートという地震予測装置がテスト中であり、近く実用化を目指しているという。

もしシェイク・アラートが高い精度で地震を予測できるとしたら、地震大国日本もその技術を利用して、南海トラフ大地震や首都圏直下型地震の被害を抑えられるのではないだろうか!?

まずは、そのニュースを紹介しよう。

アメリカ地質調査所(United States Geological Survey, USGS)といくつかの大学が協力して、ShakeAlertと呼ばれる地震早期警報システムを作っている。その目標は、地震が起きる10秒前までに警報を提供することだ。まだ一般公開されていないが、目下、カリフォルニア、オレゴン、ワシントンの三州でテストを行っている。

(中略)

Allenは本誌の取材に対して、ShakeAlertは地震を予報するシステムではない、と語った。「水曜日にロサンゼルスで地震が発生します」、というのが‘予報’だが、Allenによると彼らのプロジェクトは地震の予報はできない。“近い将来に地震の予報が可能になることは期待できない、という点で多くの地震学者の考えは一致するだろう”、とAllenは語る。

むしろ私たちは、今何ができるかを考えるべきだ。そこに、ShakeAlertのようなものの出番がある。このシステムは、地震が約10秒後に起きる、と警報する。プロジェクトの関係者たちは、警報を自分のスマートフォンで受け取る。

(中略)

Allenは曰く、“近い将来、みんなのスマートフォンに警報が行くようにしたい。2018年には特定の地域で、少数の住民による本番利用を開始したい。そこには、これまでよりもっと密度の高い地震計ネットワークを整備するだろう”。

参照元:地震の“予報”はまだ無理だが“早期警報”は可能かもしれない、高密度な地震計ネットワークShakeAlertを米西部でテスト中(TechCrunch Japan)

…あれ?

どこかで見たことあるような??

 

シェイク・アラートは地震発生の10秒前に警告を発する。

その警告を住民たちのスマートフォンに直ちに届くようにする。

 

これって、日本の「緊急地震速報」とまったく一緒ではないか!

このシェイク・アラートのシステム構築には、国や州が多額の助成金を出しているようだ。ということは、きっと日本の緊急地震速報よりもすごい何らかの方法論がとられているはず。

 

とりあえず、緊急地震速報のシステムを超簡単に説明しよう。

地震が発生すると、その震源地からまず最初に”P波”という振動が発せられる。P波はスピードが速く、揺れが弱い特徴を持っている。その次に、震源地から”S波”という振動が発せられる。S波はスピードが遅く、揺れが強い特徴を持っている。

カタカタカタ…という小刻みな揺れが続いた後に、グラグラグラッ!!と大きく揺れるのは、最初の揺れがP波によるもので、次の揺れがS波によるもの。気象庁はP波が発生した瞬間に、ものの数秒もかからずS波の発生と到達時間を計算し、それを緊急地震速報として発表しているのだ。

 

では、シェイク・アラートはどのような技術で、地震の発生を予測するのだろうか?シェイク・アラートのホームページを確認してみた。

シェイク・アラートの秘密とは!?

シェイク・アラートのホームページに、その地震予測の方法が説明されていたので和訳してみよう。

Using P-wave information, we first estimate the location and the magnitude of the earthquake.(まず、P波のデータを使って、発生した地震の大きさや震源地をはじき出すぜ!)

Then, the anticipated ground shaking across the region to be affected is estimated and a warning is provided to local populations.(そして、迅速に地震の被害想定地域が計算され、そこに住む人々に警告を発するぞ!)

The method can provide warning before the S-wave arrives, bringing the strong shaking that usually causes most of the damage.(この方法により、大きな揺れと被害をもたらすS波が来る前に危険を知らせることができるのだッ!!)

参照元:http://www.shakealert.org/

これは…!?

地震予測にP波とS波を利用している。

どうやら、シェイク・アラートは気象庁の緊急地震速報とほとんど同じ原理で地震を予測するようだ。

 

期待外れ…というよりも、こと地震対策にかけては、日本はダントツで世界一の技術を持っているのかもしれない。

先日”関東地方で巨大地震が発生した!”という大いなる誤報があったが、その際も交通機関は地震発生前に安全のために運航を停止させた。確かに誤報ではあったものの、日本という国が大地震にちゃんと備えていることが改めて分かった。

また、大地震が想定されている南海トラフ地方には、今でもかなりの数の観測施設が設置されている。

建物の耐震技術もすごい。他国が壊滅的な被害を受けるような大規模地震が発生したとしても、日本人は平然としているし、日本の建物の被害はほとんどなし。

地震発生の数秒前にみんなの携帯に緊急地震速報が届き、危険を教えてくれる。アメリカが目指す未来が、いまの日本に普通に存在しているのだ。

 

アメリカ最先端の高密度地震計ネットワーク「シェイク・アラート」を知ることで、改めて日本の凄さを理解できたのではないだろうか。

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