寝る前の新エチケット「イビキスト」という商品が発売された。
「寝息がふたりを遠ざける…」
そんなキャッチコピーが印象的なCMも流れている。
これ、名前からしてうるさいいびきに効きそうではある。しかし、実際のところいびきを止める効果はないし、そんな宣伝もしていない。CMを観ても、パッケージの裏を読んでも、ホームページを見ても、いびきに効果があるなんてどこにも書いていないのだ。
ではイビキストの効果とは何なのだろうか?
イビキストの効果とは?
まずは、イビキストのホームページにある、その効果を紹介しよう。
イビキストの特徴
・「寝息にマナーを」
不快な寝息のエチケットスプレーです。
・3種の天然オイル+ビタミンE配合(ノンシュガー)
天然オイルで口の奥をコーティングし、空気の流れをスムーズにします。
・簡単スプレータイプ
いつでも手軽に、持ち運びにも便利
・不快な寝息が気になるいろいろなシーンに
旅行やお泊りに、お酒を飲んだ日に、長距離の移動に、お休み前に
参照元:イビキストのホームページより
このイビキストのホームページを確認したが、どこにもいびきを軽減しますといった意味合いの文言が書かれていない。また、よく読むと「いびき」という言葉自体がひとつも使われていない事に気づく。
出てくるのは「いびき」ではなく「寝息」だ。いびきと寝息の違いは、一説にはその音の大きさだという。30ホン以上がいびきで、30ホン未満が寝息らしい。もし、大きな音を発するいびきには効果ナシなら、こりゃ”ネイキスト”の方がいいのではないだろうか。
そんなイビキストは、その効果についても具体性を欠いた表現ばかり。「不快な寝息へのエチケットスプレー」と記載があるが、いったいなんなのかよくわからない。曖昧で具体的な効果がまったく宣伝されていないのだ。
こういった曖昧な表現にならざるを得ないのには、ある理由があるのだと思う。
イビキストは薬ではない
それはイビキストが薬ではなく食べ物、つまり「栄養機能食品」に分類されるからだ。
*栄養機能食品についてはこちらの記事で→トクホ(特定保健用食品)と機能性表示食品と栄養機能食品の違いとはなんだろーか?
パッケージの裏にはこういった記載がある。
「栄養機能食品(ビタミンE)ビタミンEは、抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける栄養素です」
栄養機能食品であるイビキストが大腕を振ってアナウンスできるのは、ビタミンEがもつ効果だけ。宣伝でもいびきを軽減するとか、寝息を改善する、といった表現自体、使ってはいけないルールなのだ。
「医薬品」という分類ならば「○○に効果があります」という表現が使える。しかし栄養機能食品では、そういった表現を使うことは許されない。
だから、ホームページのどこを見ても、寝息を静かにするとか、寝息が止むなんてどこにも書いていないのだろう。宣伝の担当者も相当苦労したのではないだろうか。
結局のところ、イビキストはいびきを改善するのか?
ではイビキストは寝息やいびきにまったく効かないのかとなると、それは話が別だ。
宣伝のルール上いびきに効くと表現できないだけなのだから。
イビキストの効果に「3種類のオイルが喉の奥をコーティングして、空気の流れをスムーズにする」というものがある。
いびきが発生する原因は、仰向けで眠ることで気道が舌で塞がれてしまうから。
呼吸がスムーズに行えないので、「ぐがーっ!ぐがーっ!」とか「すぴぴぴぴ…!」といった苦しそうな呼吸音を発することになる。
いびきをかきやすい人の特徴として一番ポピュラーなのが「肥満」だ。
体重が増えて体脂肪が増えると、それと同時に舌の重量も大きくなる。そのため、睡眠中に舌が気道を塞ぎやすくなる。
また、加齢による舌筋の衰えや、アゴが小さい人も、舌が気道を塞ぎやすく、いびきが酷くなる傾向がある。
そんないびきが酷い人でもイビキストのオイルコーティングで、喉が滑らかになる。
その結果、無理な呼吸で喉の奥が振動する不快な音が和らぎ、いびきや寝息が改善する…かも知れない。
というわけで、イビキストの効果をまとめると
①喉のオイルコーティングでいびきが軽減される可能性がある。
②ビタミンEの抗酸化作用
と、このふたつだろう。
あくまでもイビキストは食品であり、薬ではないことを理解して購入した方が良い。
そうしないと「イビキスト使ったのにいびき全然おさまんねーじゃねーか!!嫁が実家に帰ったぞ!!」という事になってしまうかも知れない。
いびきの原因は鼻炎や肥満や体質などなど、人それぞれである。
ダイエットや舌筋のトレーニングなんかをすることでイビキが改善することもあるだろう。
イビキはある一つの解決法で、突然誰もが改善するなんてもんじゃないのだ。
「ひょっとしたらイビキスト使う事でいびきが改善されるかもしれない」そんなスタンスで使ってみるのがいいだろう。