2016年4月14日九州でマグニチュード6.5の地震が発生し、熊本では最大で震度7を記録した。
いわゆる「平成28年熊本地震」だ。
あまり地震の起きない熊本での大地震に、日本全国が驚いたのは記憶に新しい。
…が、実はその危険性を事前に警告していた番組がある。
2016年4月6日に放送されたNHKスペシャル「巨大災害 MEGA DISASTER Ⅱ日本に迫る脅威 地震列島 見えてきた新たなリスク」という番組だ。
その番組では熊本地震の前から熊本の地震リスクを指摘しているとともに、日向灘での大きな地震が南海トラフ巨大地震に繋がるリスクも指摘していたのだ。
その番組の内容を簡単にお伝えしつつ、日向灘地震と南海トラフ巨大地震の関係を紹介しよう。
最新の地震研究が伝える新たなリスク
NHKスペシャル「巨大災害 MEGA DISASTER Ⅱ日本に迫る脅威 地震列島 見えてきた新たなリスク」では、東日本大震災をきっかけに大きく進んだ地震の研究が紹介された。
通常、地震はプレートとプレートの境目で起きるといわれている。
年間数センチしか動かないプレートであるが、その歪みが蓄積され、解放されたエネルギーが地震となって大地を揺らすのだ。
しかしGPSを使って観測された最新の研究によると、プレートの構造はそんなにシンプルではないらしい。
実はプレートは一枚岩ではなく、ジグゾーパズルのように複雑に分断されているのだ。
そして地震大国日本の地盤は、世界でも類を見ないほど複雑に入り組んでいるという。
熊本地震の原因は地盤の割れ目!?
2015年10月18日鳥取県でマグニチュード4.2の地震が発生し、体に感じないものを含めると400回以上もの地震が発生した。
しかもこの地震が発生した地域には活断層が確認されていなかった。
実はこの地震が発生原因は、山陰地方を横断する「地盤の割れ目」だという。
そして山陰地方では、地盤の割れ目に歪みが蓄積されていて、今後も大きな地震が発生する可能性があるという。
今までの研究では西日本全体はユーラシアプレートに乗っていると考えられてきた。
しかし同じユーラシアプレートに乗っていても、その動きはばらばらであることが分かったのだ。
太平洋プレートが西へと動いてユーラシアプレートとぶつかっている。
日本が乗っかっているユーラシアプレートの動きを見ると、東海・四国は北西に動いているにもかかわらず、九州地方は南に動いているのがわかる。
この動きの違いが、地盤の割れ目がある事実を伝える。
さらに拡大してみると、九州地方の複雑な動きがよくわかる。
九州を分断するオレンジ色の線が「地盤の割れ目」だ。
今回の熊本地震の震源地と、完全にかぶっているのがわかる。
4月14日に発生した熊本地震は、明らかにこの「地盤の割れ目」が引き起こしたものだろう。
番組では専門家が地盤の割れ目の危険性を語っている。
「内陸地震のリスク、大きい地震がおこる可能性が高い」
「活断層がないから安全と思っていた場所でも、こういう地殻変動を通して見るとブロックの境界線が引かれる場所もあります。そういうところには注目してほしいというか、注意して欲しい」
番組に出演した京都大学防災研究所の西村卓也准教授の発言だ。
西村准教授の危惧した通りに、熊本地震が発生したといっても過言ではないだろう。
ジグゾーパズルのように日本を分断する「地盤の割れ目」。
この境目には潜在的な地震のリスクが潜んでいるという事なのだ。
日向灘での大きな地震が南海トラフ巨大地震を招く
次の巨大地震がもっとも警戒されているのが南海トラフ。
最大でマグニチュード9レベルの地震が起きる可能性があるという。
南海トラフ地震は東海から九州にかけて激しく揺れると想定され、太平洋沿岸には10メートルを超える津波が発生し、最悪の場合は死者33万人にのぼるという。
日本が誇るスーパーコンピューター「京」を使い、南海トラフの地形や歴史をつかってシミュレーションをすると、ひとつの事実が浮かび上がってきた。
南海トラフ地震は100年~150年の周期で繰り返されてきた。
しかし地震の歴史を調べてみると、明らかにその間隔が短くなるパターンがあるという。
そのきっかけとなるのが「日向灘」という九州の東、四国の南西に位置する地域の地震。
日向灘でマグニチュード7クラスの地震が発生すると、南海トラフ地震の周期が半分程度に短縮されるという。
つまり、日向灘での地震が南海トラフ地震を誘発する可能性があるのだ!
日向灘でマグニチュード8レベルの地震が発生する可能性がある。
政府の地震本部は日向灘で想定される地震について、最大でM7.6程度としてきた。
この領域では、M7.6前後の規模の地震のほか、ひとまわり小さいM7.0~7.2程度の規模の地震が発生することが知られています。日向灘周辺で発生するM7程度の地震の多くは、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生するプレート間地震です。例えば、日向灘で発生した1961年の地震(M7.0)、「1968年日向灘地震」(M7.5)及び1984年の地震(M7.1)などがあります。この地域では、このようなM7程度の地震が十数年から数十年に一度の割合で発生していますが、M8以上の巨大地震が発生したという記録はありません。
政府地震本部HPより抜粋
歴史的に見て、日向灘では何度もマグニチュード7レベルの地震が発生している。しかしマグニチュード8レベルが発生した記録はない…。
しかし、最新の研究では日向灘におおいてもマグニチュード8レベルの地震が発生する可能性があることがわかった。
津波の痕跡などを調べた最新の研究によると、1662年に日向灘で発生した地震がマグニチュード8レベルだった可能性があるとのこと。
このレベルであれば南海トラフ地震ではなくとも、単体の地震でかなり大きな被害が想定されるだろう。
追記:日向灘で地震が発生しました。
2019年5月10日 M6.3の地震発生
画像参照:TENKI.JP
2019年5月10日、日向灘でマグニチュード6.3の地震があった。
マグニチュード6.3なので、マグニチュード7クラスではないと思うが…。
M7クラスってことは、M7前後ってことだし、M6.3は微妙なところ。
でも、南海トラフの西の端に位置する日向灘が大きく揺れたら、南海トラフ全体への刺激となるのは確実だろう。
ちなみに、もし今回の日向灘地震で南海トラフ地震の周期が半分になったとしたらどうなるだろう?
南海トラフ地震の発生周期は100~150年と言われている。
そして直近の南海トラフ地震は1944年くらい。
- 1944年:東南海地震(M7.9)
- 1946年:南海地震(M8.0)
周期は半分になるってことは、1946年から50~75年後ってこと。
つまり単純計算で、1996年~2021年くらいに南海トラフ巨大地震が発生することに!!
気がかりなのは、2019年5月14日にパプアニューギニアでもマグニチュード7.7の大きな地震が起きたこと。
画像参照:ウエザーニューズ
パプアニューギニア周辺に大きな地震が発生すると、その数週間以内に日本でも大きな地震が起きるという噂もある。
日向灘、そしてパプアニューギニア。
南海トラフ巨大地震は近づいているのかもしれない…!?
追記:2019年5月25日千葉県南部でM5.1最大震度5弱の地震が発生した!!
2022年1月22日M6.6の地震発生
2022年1月22日に日向灘を震源とした6.6の地震発生した。
日向灘は南海トラフ地震の震源域。この地域でM6.8以上の地震が発生した場合、政府は専門家を集めて南海トラフ巨大地震との関連性を調べる検討会を開くルールとなっているらしい。
今回はギリギリで検討会を開くことはなかったものの、南海トラフ地震が差し迫ったものになっている気がしないでもない。
気になるのは日向灘M6.6地震の約一週間前2022年1月15日に発生した、トンガの海底火山大噴火だ。
トンガ海底火山の位置はニュージーランドの北。
環太平洋造山帯の活動が活性化した結果、海底火山が大爆発!
それに連動する形で日向灘も揺れたのかもしれない。
一節には環太平洋造山帯周辺の地震や火山活動は時計回りに連動しているといわれている。
いわゆるバヌアツの法則もその連動性に着目した法則のひとつ。
関連記事:バヌアツの法則とは?ホントにバヌアツ地震が南海トラフ地震の前兆となるのかッ!!
南海トラフ地震である「宝永地震」は1707年10月4日に発生したけれど、その直後の12月16日には富士山が大噴火している(宝永大噴火)。
火山の噴火と巨大地震は連動する。
トンガの海底火山噴火もまた、南海トラフ地震への引き金になりかねないのではないだろうか。
南海トラフ巨大地震を誘発する地震まとめ
NHKスペシャル「巨大災害 MEGA DISASTER Ⅱ日本に迫る脅威 地震列島 見えてきた新たなリスク」の内容をまとめてみよう。
この番組名にある「見えてきた新たなリスク」とは、日本を複雑に分断している”地盤の割れ目”のこと。この割れ目付近では大きな地震が起きる可能性がある。
そして番組が具体的に指摘した地震予測はふたつだけ。
①山陰地方には地盤の歪みが蓄積されていて、今後も大きな地震が発生する可能性がある。
②日向灘での地震が南海トラフ地震の発生スパンを短縮させる可能性がある。
4月14日に発生した熊本地震は南海トラフ地震の前兆となるのか?
それはまだはっきりとはわからない。地震の研究が進めば、これからもっと精度の高い地震予測ができるようになるかもしれないが。
ただ、もしこれから九州の東に位置する日向灘でも連続して地震が起きたとしたら…数年のうちに南海トラフ地震が発生するかもしれない!