プレイヤーが圧倒的に強くて雑魚を蹴散らすゲーム。
主人公が特殊なチート能力を持っていて無双する漫画。
異世界に転生して大活躍する小説。
このような俺ツエー系のエンタメは昔から人気がある。
…が、最近特に人気を集めている気がする。
なぜか?
その裏には、”自分自身の不完全性”という心理が隠れていそうだ。
人間は誰もが不完全で、肉体的にも精神的にもパーフェクトな存在にはなれない。
漠然と不安を感じたりするし、置かれている環境にも不満を持つ。
”辛い現実”ってやつを前にして、その現実を変えようと戦う気力も力もない。
そんな欠損した”心のスキマ”に、俺ツエー系のエンタメは実によくフィットする。
ゲームの中で無敵のキャラになって暴れると、ひとときでも自分の非力さを忘れることができ、いつわりの全能感を得られる。
小説やマンガの中でいともたやすく活躍する主人公と自分を重ね合わせ、ひとときでも現実を忘れ、留飲を下げる。
なんとなくだけど、こういったゲームや小説が人気なのは、まだまだぬるま湯に使っている小学生や中学生よりも、人生がつらかったり自分が万能ではないと気付いた20代・30代の大人な気がする。
だとしたら、俺ツエー系のエンタメが流行する原因は不景気や社会不安なのかもしれない。