陰謀論を信じる人は、犯罪を犯しやすい。
そんな驚くべき研究結果が発表された。
「世界は裏でフリーメイソンが支配している!」
「同時多発テロ事件はアメリカの自作自演だった!」
「東日本大震災は地震兵器による攻撃だった!」
「UFOの事実を暴露しようとしてケネディを暗殺したのはマジェスティック12だ!!」
陰謀論者は、このようなわけのわからん説を大真面目に信じている。
まあ、何を信じるかは個人の自由だから、別にいいんだけど…。
でも、なぜ陰謀論を信じる人は犯罪を犯しやすいのだろうか??
陰謀論を信じている人は犯罪を犯しやすい
イギリスにあるケント大学とスタフォードシャー大学の心理学者によると、陰謀論を信じる人は低レベルの犯罪を犯す可能性が高いという。
- 赤信号を無視する
- 電車やバスを無賃乗車する
- 友人から借りた金を返さない
- すぐに怒鳴ったり暴力的になる
- 音楽や映画を違法ダウンロードする
殺人や強盗などを”重大な犯罪”とすると、”低レベルの犯罪”はこんなところになるだろうか。
陰謀論者はこういった低レベルの犯罪を受け入れやすいのだとか。
その理由について心理学者は、「陰謀論者は社会とのつながりが希薄であり社会の規範を守らない傾向にあるからだ」と説明している。
また、出来事の裏に”誰かの悪だくみがある”と思いがちな人は、自分もまたそういった悪だくみをする傾向があるのかもしれない。
正直な人は、人の言葉をそのまま信じちゃう。
だけど嘘つきは「この人、嘘言っているかも…」と疑い、素直に信じようとしない。
それと同じようなことがいえるのだろう。
この「陰謀論者は犯罪を犯しやすい」という結果を証明するようなニュースを紹介しよう。
フランスの黄ベスト運動(仏大統領に抗議する運動)に参加している人たちについての記事だ。
調査結果によると、黄ベスト運動を支持する回答者の25%近くが、東部ストラスブールで昨年12月に起きたクリスマス市襲撃事件について、黄ベストデモから注目をそらせようと政府が襲撃させたとの説を信じていた。
一般的なフランス人で政府の陰謀説を信じると回答したのは約10%だった。
黄ベスト運動の主導者や支持者らについては、ソーシャルメディア上で大量のフェイクニュースを拡散したり、集会やデモで記者たちを攻撃したり脅したりしているとして非難が集まっているが、黄ベスト運動家たちが、真偽不明な「ユダヤ陰謀論」や、エリートたちが移民の大量流入を画策しているという大衆の間に広まる陰謀説を信じやすい傾向にあることも明らかとなった。
参照元:「黄ベスト運動」の参加者は陰謀論を信じやすい、仏調査(AFP)
現政権に対して異を唱えるのはいいとしても、過激で暴力的なデモを繰り返しちゃあいけない。
そんなことをやっているのが黄ベスト運動であり、黄ベスト運動参加者は陰謀論者である確率が高いのだとか。
一般的なフランス人で陰謀論を信じている人は10%。
対して黄ベスト運動参加者は25%と2倍以上だったのだ。
それにしても4人に1人が陰謀論を真面目に信じてるって…やべ~よな~。
陰謀論を信じる人は理論的に考える力が弱い
陰謀論者は計犯罪を犯しやすい、つまり自制心が低い傾向がある。
つまり本能的な欲望にブレーキをかける脳の前頭葉の働きが弱いということになる。
そればかりか、陰謀論を信じる人はそもそもの”考える力”が弱い可能性がある、そんな研究結果が発表された。
研究チームは学部生338人に対し批判的思考を評価するテスト「Ennis-Weir Critical Thinking Essay Test」を実施し、続いて学部生らへ陰謀論に対する認識について問い、批判的思考をどのように自己評価するのかをチェックしました。
調査の結果、陰謀論を信じる人ほど批判的思考テストの結果が悪くなることが分かったとのこと。
批判的思考(クリティカルシンキング)とは、なんらかの情報を得た時に「それって本当かな?」という批判的な思考で受け止め、多角的な情報を総合的に分析し、判断する力のこと。
簡単に言えば、批判的思考が弱いひとは「有名な○○さんが言っていたから」「本に書いてあったから」「みんなが言っているから」そんな理由で、疑いもせずに信じてしまう。
アホみたいな陰謀論を疑いなく信じてしまう陰謀論者が批判的思考能力がないってのは、まあ当たり前といえば当たり前の事実ですね。
オカルト信者と陰謀論者との違い
「ダイアナ妃は陰謀で殺された!」
「アメリカ政府はエイリアンやUFOの情報を隠している!」
こんな陰謀論はオカルトのひとつなわけだけど、オカルトといってもいろんな種類がある。
超能力、幽霊、霊能力、タイムスリップ、未来予知、超古代文明…。
こんな人畜無害なオカルトを信じている人は、おそらく犯罪を犯す可能性は低いだろう。(ただし知性は低い可能性がある)
幽霊を信じているからって、その人が低犯罪を犯しやすいってわけじゃないのだ。
では、なぜオカルトの中でも”陰謀論”を信じる人たちだけが危険なのか?
それは陰謀が成り立つには”巨大な権力”が必要であり、陰謀論者はとにかく”巨大な権力”に反感を持っているからだろう。
自分の考えとは違う納得できないような事実や現象に触れたとき、普通は「自分は間違っていたのかな~」と思う。
だけど陰謀論者は「これは事実が捻じ曲げられている!巨大な権力に!」とまあ、こう考えちゃうわけだ。
自分VS巨大な権力
自分VS政府
自分VS警察
自分VS金持ち
自分VS法律
自分VS常識
こんな感じで陰謀論者はつねに強大な敵と戦っている。
だからこそ陳腐な常識に縛られず、結果的に低レベルな犯罪を犯しやすいのかもしれない。
でも、なんで普通なら信じないような陰謀論を、陰謀論者たちは信じてしまうのか?
恐らく陰謀論者のほとんどが、何らかの形で現状に不満を抱えている。
頑張っても上手くいかない現実、どうしようもない気に食わないこと、だれだってひとつやふたつは持っている。
陰謀論者はそれを”強大で動かしがたい何者か”のせいにしたいという心理が働いているのだろう。
金銭的に裕福で、高い知性を持っていて、幸せな生活を送っている人には、陰謀論者は少ないはず。
なぜならそういった人たちは”わざわざ陰謀論を信じる必要がない”からだ。
陰謀論者は陰謀を必要としている。
「なぜ陰謀を信じる必要があるのか?」
もし日常生活で陰謀論者にであったら、そこに着目して観察してみれば、その人の人となりが見えてくるだろう。
陰謀論はたしなむ程度にしましょう
実際のところ、世の中にはホントに陰謀がうずまいているのだろうし、面白おかしく語られる陰謀論の中にも真実の一端はあるのかもしれない。
ともあれ、陰謀論は信じすぎず、楽しむ程度にとどめておいた方がよさそうだ。
そしてもし、トンデモナイ陰謀論を熱く信じている人が身近にいるとしたら、そんな人とは少し距離をとった方がいいかもしれない。
TwitterなどのSNSで、ネットに転がっている怪しげな陰謀を鵜呑みにして発信している人たちも要注意。
表面上はとてもいいヤツに見えても、実はかなりメンドクサイ性格…かもしれない!!